2023年のWBC決勝戦でアメリカに勝利した歓喜の瞬間 Photo:JIJI
各球団は過去最高の観客動員数を記録し、今の日本のプロ野球は空前の「黒字経営」を謳歌しています。しかしその一方で、日本シリーズの地上波視聴率は一桁台に低迷。「WBCは見るけど、日本のプロ野球はつまらない」と感じる人が増えているのはなぜでしょうか? 実は、この“人気と視聴率のねじれ”の裏には、JリーグやMLBにはあって日本のプロ野球機構には決定的に欠けている「ある重大な戦略の不在」が隠されていました。。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
集客は絶好調なのに
プロ野球が“つまらない”ワケ
「なぜWBCはあれだけ盛り上がるのに日本シリーズはそうでもないのでしょうか?」
読者の皆さんにはまずこの質問に直観で答えていただきたい。
「そんなの当たり前だろう。日本のプロ野球はつまらないじゃないか!」とお考えかもしれないが、この話はそう簡単ではありません。
というのも日本のプロ野球は今が歴史上一番、球団経営がうまくいっているからです。
実際、2025年の各球団の観客動員数は過去最高記録を更新しています。
観客動員数ランキングでは1位が阪神、2位が巨人、3位がソフトバンクの順で、この人気1位と3位の球団が激突したのが昨年の日本シリーズだったわけです。
なのに日本シリーズの地上波の視聴率は関東で6%~10%と低調でした。同じ時期に放送されたMLBのワールドシリーズがNHK総合で放送された地上波で18%~20%を記録したのと比較すると、「アメリカ野球に視聴率で負けるのかい?」と突っ込みたくなります。
そして話題のWBCに至っては2023年の決勝戦が42%、準々決勝のイタリア戦においては48%で年間視聴率1位を獲得しています。
かつてプロ野球は地上波の鉄板コンテンツでした。
昭和の時代から2000年頃まで、巨人戦はほぼ毎試合が地上波のゴールデンタイムに中継されていました。
当時の日本人のアフターファイブのライフスタイルは、ビールを飲みながらテレビでプロ野球中継を見るのが当たり前だったものです。
ところが2000年代中頃から視聴率が低下します。2013年には巨人戦の中継がわずか7試合にまで減りました。
球団経営はうまくいっているのです。阪神、巨人、ソフトバンクは一試合平均で4万人の観客を球場に集めています。
それ以外の球団も、おしなべて平均2万5000人から3万5000人を集めている。球場は熱気に包まれています。
昭和の時代、南海ホークスやロッテオリオンズの球場に閑古鳥が鳴いていた頃を知っている世代からみれば、今の福岡のみずほPayPayドームや千葉のZOZOマリンスタジアムの賑わいぶりには隔世の感があります。「プロ野球球団経営は単体でも黒字が常識」に業界が生まれ変わったのです。
これだけ人気のある野球が、なぜ視聴率はとれないのか?どうすれば映像でも稼げるコンテンツに生まれ変わることができるのか?勝手ながらイチファンとして分析してみたいと思います。







