転売を完全になくす方法はあるか

 ここから先はやや理屈っぽくなるので、ソニーの「プレイステーション5」の転売対策についてだけを早く知りたい方は、速読してほしい。

 まず、商品を購入するというのは、所有権を販売側から購入側に移す行為だ。したがって、所有権移転後の商品を処分するのは自由である。転売は、違法行為ではない。ワインや絵画などはオークション市場が整備されており、目が飛び出るほどの高額で売買されることもあるが、批判は起きない。*ただし転売を反復継続的に行う場合は古物営業法に基づく「古物商許可」が必要だ

 転売は自由な売買行為であるため、絶対的な抑止策はない。ただし、効果的な対策が二つあると思う。ひとつは、購入者のIDを管理すること。購入者の身分証明書を確認し、商品にも個々に独自の番号を振っておく。そして購入者には、転売をしないように契約する(転売するのは自由だが、転売しないように契約するのも自由だ)。

 こうすれば、もし転売された商品を発見しても、出品者も判明する。後は何らかの罰則を課す。実際に高級ブランド時計では類似の方法が採用され、転売の抑止になっている。

 もうひとつは、私が冒頭で発言したように、価格を引き上げることだ。転売が生じるのは、市場が評価する価格よりも安価に販売されているから。もし、転売で2倍の値が付くなら、最初から販売価格を2倍にしておけばいい。

ハッピーセット「ちいかわ」転売問題、経営のプロが考えた「転売対策」がド正論すぎてファン激怒〈再配信〉Photo:DIAMOND

「いやいや、そういうことじゃない!」と思う人も多いだろう。ファストフードやゲーム機やプラモデルで、ID管理なんて面倒なことできないでしょう、と。価格が何倍にもなったら、お金持ちしか買えなくなっちゃうじゃん、と。

 まさにそのとおりで、低額品の場合はコストとの兼ね合いで難しい。また、転売を撲滅できても、「価格を吊り上げる企業」「ステルス値上げだ」などとネガティブなイメージが付いたら元も子もない。そこで、もっと別の方法を模索する企業が多い。