経済成長が乏しい日本では
積立方式が成立しづらい

 もう少し分かりやすく言い換えると

・団塊世代のおじいさん(世代1)をジュニア世代のお父さん(2)は仕送りで養ってきました。

・順送りでお父さん(2)は子供(3)が老後の面倒を見てくれると思っていました。しかし

・子供はお父さんの面倒をみたくない(賦課方式から積立方式への移行)ので、

・お父さんはおじいさんを養ったうえに自分の老後のための貯金も必要になりました。

 性急に積立方式化を進めれば特定の世代に負担がかかってしまいます。だから積立方式への切り替えを主張する人たちも、何十年もの長い期間をかけて国債を発行しながら移行すべきだ、と言っています。それでは結局いつかは増税しなくてはいけないので、どこかで負担が生じてしまいます。

 もともと積立方式の議論は物的資本の蓄積のリターンで老後をまかなうことを念頭に置いています。ところが日本経済は物的資本の蓄積、つまり投資をしていないし、アパートを建てても少子化で入居者がいないという事態になっています。

 最初から積立方式で頑張れば良かった、という意見もありますが、それも難しいでしょう。積立方式だからと言って、積立を始めた若者が退職するまで何もしない、いま困っているお年寄りを無視するというわけにもいかないからです。

年金を維持しようとすれば
少子化対策が疎かになる

 年金財政の悪化は最終的にはマクロ経済スライドという名称で年金支給にしわ寄せがいく計画になっており、現状では水準を切り下げ続けるしか方策はありません。

 高齢者が年金切り下げに反対すれば、民主主義のもと政権は継続できません。この財政悪化問題はもともと出生率低化に由来していますが、財政悪化で子育て支援が不可能となって少子化を加速させれば日本は消滅です。

 ただ現状の財政再建策は家計を緊縮させて消費水準の低下をもたらしたため、世論や政治の財政出動論を結果的にかえって誘発しています。もちろん財政を使わず景気を良くすることが望ましかったのですが、もはやその域を超えた少子化になっています。