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年金制度や社会保障をめぐり、世代間の不公平感が広がっている。データを見ると、高齢者世帯は多額の金融資産を保有していながら貯蓄をほとんど切り崩していないことがわかる。この動かないお金が日本経済にどんな悪影響を与えているのか。日本復活の一手はあるのか?※本稿は、東京都立大学経済経営学部教授の脇田 成『いまどうするか日本経済』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
どこかの世代が割を食う
年金積立方式への移行
財政の支払い能力危機は少子化に由来し、年金に問題が表れます。
我が国の年金は世界各国と同じく賦課方式になっています。賦課方式は現役世代から、退職世代へ仕送りを行うものですから、いわば自転車操業です。このような賦課方式の年金は、若年世代から老年世代への移転であるので、「負の遺産」あるいは「未来からの補助金」ととらえることができます。ただ賦課方式による年金は、自分で預けたものが返ってくるわけではなく、政府が媒介で天から降ってくるように与えてくれるため、一般的に貯蓄意欲を阻害すると指摘されました。
なぜ積立方式に変更できないかといえば、いったん賦課方式になってしまうと、二重負担の問題があって途中で積立方式に切り変えるのは難しいからです。
賦課方式では最初の世代(1)は負担を行わず、次の世代(2)から移転を受けます。次の世代(2)は、その次の世代(3)から移転を受けることを期待するわけですが、ここで積立方式に切り替えると、世代(2)は第(1)世代の年金をまかなったばかりか、自分の世代の年金も積立てねばならず、この世代だけが二重負担となるからです(図7-9)。
同書より転載 拡大画像表示







