投資平準化パターンは、製造業以外でも、同じような資産を多数保有している場合に該当する。スーパーやコンビニチェーンなどの商業、賃貸ビル業、ホテルチェーンなどは、製造業同様に投資平準化パターンを採用している例が多い。

 一方、商業施設、ビル、ホテルを1つだけ保有して事業をしている企業は、常に建て続けることはできない。大型投資の後は投資を大幅に削減するので投資平準化パターンとはならない。その場合は、投資していない時期に負債を減らして将来に備えている。つまり最初の投資を負債で調達し、その施設が稼働して収入が入り始めると、その収入で負債を返済する。借り入れ期間が終わると負債の返済は終わっている。その後、当初の施設が老朽化し建て替える必要が生じるが、その時点では負債はなくなっており、再び新しい負債を負うことができるというパターンである(図表1-3)。

図表1-3 負債減少パターン同書より転載 拡大画像表示

人類史上最速最大の集中投資
ルーズベルトが残したもの

 両パターンは、国家や都市という単位で見ても同じことが言える。

 国土や都市を100年、1000年の計で整備すると考えて、徐々にインフラ整備を進めれば投資平準化パターンとなる。おそらく歴史上名高い多くの文明は、老朽化をさほど心配する必要のない「石」の文明であったことに加えて、短期的にインフラを完成させられるほどの資源や技術も存在しなかったために、結果的に投資平準化パターンとなって老朽化インフラを更新することができたと言えるのではないだろうか。

 筆者が歴史上唯一の例外と考えるのが、1980年代の米国である。

 そのときの老朽化の原因となったのが、さかのぼること50年前の1930年代のニューディール政策である。この政策は、第1次世界大戦後の大恐慌により発生した失業者を救済するために行われたインフラ投資の集中政策である。当時のフランクリン・ルーズベルト大統領は、公共工事による失業者への雇用の創出と経済再生を掲げて、全米に道路、橋、ダム、空港、下水道、公園、公共施設を整備した。ニューディールのかじ取りを担ったPWA(Public Works Administration)は1933年に設立され、失業者に雇用の場を提供した。