2000年代以降、インフラ投資比率は低下するが、これは長期的視点を身につけたというよりも、増大する社会保障関係費を捻出するには公共事業を減らすしかないという切実な事情があったためである。現在は、インフラ投資比率は5%台であり、もはや公共事業の圧縮で社会保障関係費を捻出できる状態ではない。結果的に、負債依存度は高まっている。インフラ老朽化と負債依存度の高さが共存する異常な状態となっているのである。
民間インフラはなぜ崩れない?
適正な投資の2つの型とは
ここまで、日本の歴史の中で、インフラ投資の集中がインフラ老朽化の集中を生んでいることを指摘した。しかし、そうしたことは今までも起きていたのではないか、あるいは、民間企業でも同じではないか、であれば何らかの方法で解決されてきたのではないかという疑問が生じると思う。筆者も、インフラ老朽化は今までもあったことだから心配する必要はない(だから、新しい公共施設や道路を作ってもよい)と主張されたことがある。だが、この主張は明らかに間違いである。その点を明白にするためにインフラ投資パターンによる分析を紹介する。
第1が、製造業に多い投資平準化パターンである。製造業の企業にとって工場設備の競争力は経営のカギであり、工場設備が老朽化してある日突然使えなくなって倒産したり、廃業したりするということは許されない。計画的に工場設備を更新して競争力を保つために、景気が良くても過大投資をしないし、景気が悪くても一定額を投資するという行動をとる。
図表1-2は、3つのラインを持つ工場設備を順番に更新していくイメージを描いている。おおむねキャッシュフロー(利益+減価償却費)の範囲内で一定水準の投資を続けていれば、工場設備の一部が老朽化しても、それを更新する予算は常に確保されていることになる。これが投資平準化パターンである。
同書より転載 拡大画像表示







