老朽化していなければ、維持管理が不十分でもすぐに障害が出ることはない。しかし、老朽化が進めば日常の維持管理次第で直ちに障害が発生する。

 さらに、維持管理費を削減しても収入が不足する場合は赤字となるが、赤字分は最終的には一般会計から支出して埋め合わせることになる。つまり、いずれにせよ何らかの住民負担を行っているのである。

 地方公営企業年鑑によって水道事業の収支を見ると、営業収益と経常費用の差引は赤字が続いており、他会計補助金等によって赤字が補われていることがわかる。水道事業単独では採算がとれておらず、一般会計からの補填で支えるという状態は受益者負担の原則から見ると望ましくない。

 是正するための料金改定は必須であり、住民も良質な水道サービスの維持には費用がかかることを認識して、受け入れるべきだと考えている。

国土の数%のエリアにだけ
下水道を敷くのが最適解

 下水道法では、下水の定義として「廃水(汚水)又は雨水」とされている。発生原因者が特定できる汚水と、特定できない雨水が存在することが、水道との大きな違いである。

 下水道法上の下水道は終末処理場まで管で接続されるネットワークインフラであり、公共下水道と呼ばれている。水道が水源から需要地までをつなぐネットワークインフラであるのに対して、公共下水道は、下水の発生地から処分場までをつなぐ逆方向のネットワークインフラである。ちなみに、2つ以上の地方公共団体における広域的な処理システムが流域下水道と呼ばれるが、インフラ老朽化の観点から見ると両者には大差はない。

 公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、市町村が行うものとされている。ただし、公共下水道の設置自体は市町村の義務ではない。後述する通り、公共下水道以外にも下水処理の方法があるためである。

 一方、公共下水道が整備された地域では、住民には公共下水道に接続する義務がある。ただし、「特別の事情により」義務が免除されることになっており、実際に、下水道普及率は高くても接続率は高くないという地域は少なくない。接続には敷地内、家屋内の対応工事の支出が必要であるため、あえて接続しないことを選択する住民が多いことを意味する。下水道管は敷設されていても住民が接続しないということは、利用料を徴収できないということであり、下水道管理者にとっては大きな負担となる。