水道と比較した下水道の特徴は、公共下水道以外にも有力な下水処理方法がある点である。浄化槽法に規定される合併処理浄化槽、集落排水である。

 合併処理浄化槽は、もともと存在した単独浄化槽がトイレの汚水だけを処理するものであり、生活雑排水は河川や海に投棄され水質汚濁の原因となったことから、生活雑排水も浄化する浄化槽として開発されたものである。合併処理浄化槽内で公衆衛生上の問題がないレベルまで浄化された後、河川等水域に放流される。2001年浄化槽法改正により、生活雑排水の処理ができない単独浄化槽の設置は禁止された。

図表2-26 下水道施設同書より転載 拡大画像表示

 また、農業集落におけるし尿、生活雑排水などの汚水などを共同で処理する浄化施設が農業集落排水施設である。同じ趣旨で林業集落排水施設、漁業集落排水施設も存在する。いずれも最終処理場までネットワークでつながないという意味では、ネットワークインフラではない。

 これらの方式は人口密度によって使い分けられる。人口密度の高い地域はスケールメリットを出しやすい公共下水道、1次産業の集落は集落排水施設、人家のまばらな周辺部は合併処理浄化槽が合理的である。公共下水道と合併処理浄化槽の分岐点は1ha当たり40人とされている。この数字は国勢調査上の人口集中地区(DID)の目安である1平方km当たり4000人と同じである。

 DID面積は国土面積の3~4%だ。その3~4%のエリアに公共下水道を集中させ、それ以外の広大なエリアは合併処理浄化槽や集落排水施設で処理すると考えると、日本全国に公共下水道を展開するよりはるかにコストは少なくてすむのである。