上下水道危険度ランキング あなたの街の管があぶない #4写真:朝日新聞社/時事通信フォト

老朽化した上水道管を抱える自治体にとって、更新費用の財源確保は避けて通れない課題だ。生活を支える必須のインフラであるが故に放置することはできない。特集『上下水道危険度ランキング あなたの街の管があぶない』(全4回)の最終回では、現在の老朽化の現状、事業の採算性、料金水準を基にランキングを作成し、自治体・団体ごとの危険度を算出してみた。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

下水道と違い
代替手段がない上水道

「上水道は下水道と違って代替手段がない」と東洋大学の根本祐二シニア・リサーチパートナーは言う。

 下水道は、本特集の#2『下水道危険度ランキング【全112自治体】老朽化度と財務的に維持が危ういのは…2位は大阪、5位は神戸、1位は?』で触れたように、合同処理浄化槽などの代替手段がある。各家庭で浄化槽を設置し、し尿や生活排水を浄化し、それを集めて河川に流すという手段を取ることでコストを抑えることができる。

 下水道の普及率はまだ8割強。今後、下水道の整備を計画している地域であっても採算を考慮して合同処理浄化槽に切り替える自治体が出てくるだろう。

 上水道にも地下水や雨水を利用した水道、給水車で水を配るといった代替手段が考えられないわけではない。しかし、「いずれもコストがかかり過ぎる」(根本氏)のが現状である。

 上水道の普及率はほぼ100%だが、維持管理の費用を抑制するために、現在敷設している管を利用するのをやめて切り替えるという手段は取ることはできない。また、利用している人がいる限り、上水道の提供をやめるわけにもいかない。

 上水道を運営する公営企業には独立採算が求められている以上、老朽化に伴い増大する更新費用を賄うには料金を値上げするしかない。

 しかし、料金を値上げするには、住民の理解を得た上で議会の同意を得なければならない。料金の水準にかかわらず理解、同意を得ることは難しいが、すでに高い場合にはより困難になる。

 料金を値上げしないままでは、更新費用を十分に賄えず、更新が滞りかねない。そうなれば管の破裂といった事態が頻発する可能性が高まる。

 ダイヤモンド編集部では、下水道と同様に老朽化度と事業の採算性に料金の水準を加味した上水道危険度ランキングを作成した。次ページでは、そのランキングを公開する。