第一は制度的要因である。ロシアの財政規則上、原油価格が基準を下回れば国民福祉基金(NWF)の外貨・金を売却し、不足分を補填することとなる。さらに財政赤字補填やインフラ投資など非流動性資産への支出に伴う外貨売却も重なり、2025年の通貨当局によるルーブル買いはネットで2.3兆ルーブルに達する試算だ。これが構造的なルーブル高圧力となった。

 第二は、中央銀行による金融引き締めである。インフレ抑制を目的とした高金利政策は、家計・企業の行動変容を促した。外貨による資産保全よりも高金利のルーブル建て運用の選好度が高まり、貯蓄目的の外貨需要が急速に減退したことが相場を支えた。

 第三は、輸入決済の構造変化である。米国の二次制裁リスクを背景に、輸入業者は決済経路の「脱ドル・ユーロ」を余儀なくされた。輸入支払いに占める外貨決済比率は、50%を割り込み、輸入に伴う実需として外貨を購入する必要性が低下、外貨需要が後退した。