なぜ詳細から話すと伝わらないのか

 なぜ「詳細」から話すと伝わらないのか。わかりやすい例で考えてみましょう。

 あなたがパートナーに、週末の料理の計画を話している場面を想像してみてください。あなたならどうやって料理の手順を説明しますか?

 説明がうまくない人は、頭に浮かんだ作業手順をそのまま口に出してしまいがちです。

「週末の夜ご飯なんだけど、まず玉ねぎをみじん切りにして、それを飴色になるまで炒めて、冷ましてからひき肉と混ぜて、そこにナツメグを少し入れるんだ。それを小判型にして……」

 これを聞かされた相手はどう思うでしょうか。

「(……玉ねぎ?ひき肉?餃子か?ミートソースか?それとも?)」

 相手の頭の中は、何の料理ができるのかという「推測」でいっぱいになり、肝心な話の内容(手順)はほとんど入ってきません。最後まで聞いてようやく「ああ、ハンバーグのことね!」とわかりますが、その頃には最初の玉ねぎの話など忘れてしまっています。

 これはビジネスでも全く同じです。

「まず来月のシフト表ですが……」と細かい話から入ると、相手は「(シフトの問題?残業の話?それとも採用の話?)」と迷子になります。

 説明がうまくない人は、相手の頭の中に「地図」がない状態で、いきなり現在地の「木」の話をしてしまいます。

 話し手にとっては見慣れた景色でも、聞き手にとっては初めて足を踏み入れる深い森です。地図もコンパスも渡さずに森の奥へ連れて行こうとするのは、あまりに不親切な案内人と言わざるを得ません。

「逆ピラミッド」で話す技術

 では、説明がうまい人はどう話すのでしょうか。

 彼らは、詳細を話す前に、必ず「大きな枠(全体像)」を提示します。先ほどの料理の例なら、こうなります。

「週末の夜ご飯なんだけど、ハンバーグを作ってみない? レストランみたいな本格的なやつ。そう思って、牛肉100%のひき肉を買ってきたんだ。まず玉ねぎをみじん切りにして……」

 最初に「ハンバーグ(全体像)」というゴールが見えているからこそ、相手は「ああ、そのための玉ねぎね」と、細部の情報を脳内の正しい場所に配置することができます。