特に最初の目的設定、および契約締結や支払い実行、情報公開など高リスクの操作では、人間が承認するステップを必ず設けることです。そして最後に、AIの行動とその結果を定期的にレビューし、継続的に改善していくことが重要です。こうした「ガードレール」を事前に設計しておくことで、AIの暴走や想定外の振る舞いのリスクを抑えつつ、自律性による生産性向上やスピードのメリットを最大限に引き出すことができます。

原則4:ハイブリッド自動化を採用する

 AIエージェントとRPAのような従来の自動化手法を対立的に捉えず、両者を組み合わせた「ハイブリッド自動化」が現実的です。AIは柔軟性と推論能力に優れますが、100%の精度は保証できません。一方、RPAは柔軟性に欠けますが確実に動作します。ベストプラクティスは、AIが不確実性の高い部分を、RPAが確実性の高いコアプロセスを担当する分業です。例えば請求書の読み取りはAI、データ入力はRPAといった組み合わせです。

原則5:ガバナンスとアカウンタビリティを確立する

 AIが自律的に動く以上、「誰が、何を、なぜ決定したか」を記録し、監査可能にする仕組みが不可欠です。具体的にはAIエージェントに一意の識別子を持たせ、重要な判断やアクションを時系列で記録し、後から検証できる状態を保つことです。これにより、問題発生時の原因特定や判断プロセスの説明が可能になります。特に金融や医療といった規制の厳しい業界では、このようなアカウンタビリティの確保が、既に実務上の前提条件になりつつあります。

AI時代のキャリア戦略
経営層が人材に伝えるべきこと

 最後に、個人のキャリアという視点から、AI時代に何が求められるのかを整理します。

 経営層が従業員に伝えるべきメッセージは、明確です。「安い労働力」としては戦えない時代が来た、ということです。AIエージェントは、データ入力、資料作成、簡単な分析などの業務を人間より速く、安く、正確にこなします。つまり従来のスキルセットのままでは、AIに代替される可能性が高いのです。