その時に、死んだら私が消えるんだろうと思ったんですね。そうすると、私が消えたら宇宙はどうなるんだろうと。宇宙も一緒に消えるんじゃないかと思いましたね。
でも、これってちょっと意味がわからない。謎なんですよね。私が死んで、宇宙も一緒に消えたら、家族とか友達とか学校とかも全部消えちゃうのだと考えると、そんなこと信じられないような気がする。でも逆に私が死んだ時に、私だけが消えて、私の家族や建物とか学校とか世界とかが全部そのまま残って、私なしに勝手に動いていくとしたら、それはすごい恐怖だと感じました。
だから、その時の私の恐怖っていうのは、1つは私が死んで私が無になる恐怖と、もう1つは私のいない世界が続いていくっていうことの恐怖。世界が私なしに動いていくってどういうことだろうって。それを小学生の時に考えました。
寝る時に怖くないのは、
目を覚ますと信じているから
──心当たりのある話に、私の背筋はひやりとする。ただ、世界が私なしに動いていく恐怖というのは、私にはよくわからない。
森岡:不思議なのは、眠っている間はそういう状態なんですよ。寝ている間は、私と無関係に世界が勝手に動いていますから。このことになぜ恐怖を感じないのかっていう問題は当然あります。当然また目覚めるだろうというふうに信じることができているから、恐怖を感じないのかもしれません。
──「眠っている場合は、私とは関係なく世界が動いても、それは一時的なものだと思えるということですね」
森岡:そうです。死も眠っている間と同じで、1000年後にまた目を覚ますということを信じていたら、そんなに怖くないかもしれません。
昨日だって、自分が寝た後にちゃんと目覚めることができると信じたから、寝る時に怖くならなかったじゃないですか。ここに「信じる」というのが入ってきちゃうんです。
──「そうですね。寝る時に怖くないのは、目を覚ますと信じているから。信じることで恐怖が和らぐというのは、宗教と似ているような気がしてきました」
『死ぬのが怖くてたまらない。だから、その正体が知りたかった。』(浦出美緒、SBクリエイティブ)
森岡:同じですよ。結局、宗教的なものが入ってきているんです。朝になったら目覚めると信じているのに、なぜ神様は信じられないのかという謎があるわけですよ。
──「それは経験していないからじゃないでしょうか?」
森岡:これまで朝になると目が覚めた経験をしているけど、次に目が覚めるかどうかは絶対にわからない。そうでしょう?
──「はい。それ自体は別個のもの、ゆえに未知です」
森岡:未知ですよね。だから、未知なのに信じられているってことです。私たちはやっぱり何か信仰しているんです。宗教を信じていない人も、眠りから覚めるだろうって、根拠なく信じているんです。これはすごく不思議なことで、もしそこで小さな信仰があるんだとしたら、そういう小さな信仰を広げていけば、宗教の信仰へと広がっていくかもしれない。







