少子高齢化や新宗教への風当たりが強まることで信者獲得に苦しむ教団が増える中、巨大教団の中でほぼ唯一、教勢拡大を続けるのが真如苑だ。特集『巨大宗教 連鎖没落』(全20回)の#10は、若年女性をとりこにする真如苑の人気の秘密に迫る。(ダイヤモンド編集部特別取材班)
信者も資金力も増える
真如苑“事業”モデルを大解剖
「あまねく世界へ真如(しんにょ)の教えを伝えていきたいと、私思いますけれど、皆さまどう?」――。
9月17日の日曜の昼下がり、東京都立川市を中心とする広大な敷地に本拠地を構える真如苑では、タイでの新たな精舎の落慶法要(社寺の新築・改修工事完成のお祝い)が、現地との衛星中継で盛大に執り行われた。
法要終盤、教団のトップである苑主、伊藤真聰(しんそう)氏がメイン会場に集った大勢の信者に冒頭のように語り掛けると、大きな拍手が湧き起った。
真如苑の公称信者数は2022年で約91.7万人。同じ仏教系新宗教である立正佼成会の半数以下の数字だ。だが、信者数の減少が止まらない立正佼成会と異なるのは、真如苑の公称信者数は四半世紀前の1997年の約75.4万人から2割以上伸びていること。コロナ禍もあって、21年の93万人台から信者数を減らしたものの、今年は再び93万人超えに回復すると教団は予測する。
信者も特徴的で、教団の公式回答では信者に占める女性比率は半分強とされているが、高齢化に悩む他教団に比べて、活動に熱心な若年層の女性の比率が圧倒的に高く、複数の有名女性タレントも信者だといわれている。
資金力もそんな教勢を反映して、今回の落慶法要が行われた巨大な教団本部が立つ敷地は、02年に日産自動車工場の跡地(約105万平方メートル)をおよそ739億円で購入。不動産だけでなく、運慶作といわれる大日如来像なども相次いで購入している。
つまり新宗教の各教団が教勢の衰退にあえぐ中、“大手”ではほぼ独り勝ちといえる人気教団なのだ。その理由はどこにあるのか。
「他の宗教法人との大きな違いは、真如苑特有の『接心(せっしん)』にある」と、真如苑総本部の広報担当者は言う。
接心とは、簡単に言えば“霊能者”によるお悩み相談だ。