犬のミームももちろんあって、「Doge」やそこから派生した「Cheems」(共に柴犬)なんかはかなり流行った。

 猫はシリアスとおバカのギャップが、犬は妙に人間くさいところと純粋にまっすぐおバカなところがネットでは主に面白がられているようである。

ネット民が自己投影しやすい?
「孤独が好きだけどつながりたい」

 ここでネット民の性格的傾向をためしにいくつか挙げてみよう。今思いつくのは次である→「反権威、シニカル、ダラダラ過ごすのが好き、束縛が嫌い」など。どうであろうか、驚くほど猫の性格と一致していることに気づくのではないだろうか。

 一方犬はというと「純粋、まっすぐ、忠誠」など。こう列挙するだけでも愛おしくて仕方なく思える特性だが、ネットのひねくれた感じとはややベクトルが異なる。

 ネットにおいてはネット民は猫に自己投影がしやすく、それが昨今のネット上の猫人気につながっていると見て差し支えないであろう。

 犬好きと猫好きに、それぞれどんなところが好きかを聞いたアンケート(※)では犬の上位が「人懐っこさ」「忠誠心」と出た。猫は上位が「かわいらしさ」「見た目」と続いたが、「気まぐれさ」と「人懐っこさ」という相反する理由がともに上位に並んだ点も興味深い。

 ネットを出た現実の生活でも、たしかにその猫の性格に似た己の面倒くささを少なくとも私は自認している。1人でいるのが好きだが人も好きだから見捨てないでほしいし気が向いた時に絶対関わらせてほしい……というような、身勝手な関係性への欲である。同様の性格傾向の人もきっと多かろう。

 その時代ごとに捉えられ方を変えてきた猫だが、現代では現代人の「自立していて孤独を好むが、なんだかんだつながりも大好き」という感性と猫の性格には共通するところがあって、猫の擬人化や猫への自己投影が進み、さらに猫愛が促進される現況がネコノミクスへとつながっているのではあるまいか。

 現代の猫は、人の関係性への希求を映すスクリーンともいえよう。そうした感情の投影が、グッズ購入やコンテンツ消費という形で経済へと還流していっているわけである。

※アイスタット 犬派 or 猫派に関するアンケート-(2024年4月11日)