この時代の猫は、人知の及ばない闇に人が感じる不安をそのまま投影されていたように思える。動物行動学なんかはない時代である。猫の謎な行動の数々は、妖怪として解釈されうる余白を多分に有していた。
近代になると科学が優勢となり、それまで得体のしれなかった闇にどんどん光が当てられていった。
非科学的にはただ不気味と感じられていた数々のものが、ただ「そういう現象である」と理解され、不安を煽る説得力は薄れていったのである。妖怪も怪異ではなく迷信や文化として捉えられ始め、猫=妖怪のイメージも下火となっていった。
ドラえもん、キティちゃん…
親しみやすさが加速していく
昭和になると猫は不気味さを減らした愛玩動物としてより家庭になじんだ。ドラえもんやキティちゃんといった猫のキャラが人気を集め、猫はいよいよ人にとって親しみやすいものになっていく。
そして核家族化が進む中で、ペットは単なる愛玩動物を超えて家族の一員として愛されるようになった。
インターネットが登場すると、犬も猫もともに人気のコンテンツとして常在し、「やっぱり犬・猫っていい」という認識が強化されてきた。
2、3年前に猫の画像や動画を用いて面白おかしく編集した「猫ミーム」というのが流行って、2024年のSNS流行語大賞にもなったが、ネットでの猫の強さはもっと以前から始まっていた。
猫由来で目立ったミームは2000年代の「lolcat」というもので、これは海外の画像掲示板をメインに流行した。ちょっと人間っぽい行動をしている猫の画像に、つづりや文法が間違った拙い英語でセリフをつける。代表的なのは「I CAN HAS CHEEZBURGER?」などで、シリアスな猫の表情とおバカなセリフのギャップが笑えてかわいいのである。
その後YouTubeが広まって動画が人気を集めるようになると、「キーボードキャット(演奏しているように見える猫)」や「グランピーキャット(不機嫌そうな表情に見える猫)」といった存在が度々ネットミームを起こした。







