村上 そこで落合と一緒に研究をしていたもう一人の共同創業者である星貴之が中心になって、経産省に相談に行ったり、国内有識者を集めて議論したりした末に安全基準を作ったところ、われわれの技術はなんとその基準を超えてしまっていた。
村上泰一郎氏(代表取締役社長)
かといって安全基準に合わせてボリュームを下げると、騒音のある場所では聞こえなくなってしまう。結果として、安全性と機能、顧客価値のバランスが取れなくなり、ノックアウトされました。
――最初の商品化は失敗したと。そこから「今の製品群」にどうつなげたのですか。
村上 実はその少し前から、落合たちの研究成果と超音波音響の開発で培ったいろいろな制御技術は、他の用途にも使えると考え直し、多数の開発にチャレンジしていました。50本以上の研究開発を行い、その中から生き残ってきたものが今の製品群です。
当社のプロダクトは最初からスマートに製品化されているように見えるかもしれませんが、実際は山のようなトライを積み重ねた結果。製品化できなかったものの方が圧倒的に多かったですね。
投資家に「将来何で稼ぐのですか?」と問われても、明確な答えを持てなかった時期もある。挑戦したものの、うち90%くらいはやめる判断をして、残ったものだけを生き残らせて今の形にしてきました。
認知機能改善や認知症の
進行抑制に寄与する主力技術
――現在の主力技術は何でしょうか。
村上 単純に事業規模でいうと、最も大きいのは「ガンマ波サウンド」です。テレビや音楽などに40Hzの特殊な制御をかけた音を聞かせることで、認知機能改善や認知症の進行抑制に寄与し得るという考え方に基づく技術です。
この技術をベースに塩野義製薬さんと共同で開発し、健康家電としてガンマ波サウンドケア「kikippa」を展開しています。例えば、日常のあらゆるシーンで利用できるオープンイヤー型の「kikippaイヤホン」は、記憶や集中力に関係するガンマ波と同じ40Hzの変調音で脳を鍛えられる健康家電です。







