人気のエリアと学校

 最後に、エリアごとの動向についても触れおきたい。「神奈川」は小6生の減少もあって6%ほど受験生を減らしている。ただ、その影響は一部の学校で強く出ることにも注意しておきたい。2027年入試では、完全中高一貫化していた清泉女学院が高校入試を再開することが話題となっている。共学化した鎌倉女子大学や受験生を減らした鎌倉学園など、鎌倉周辺だけでも目まぐるしく動いている。

 勢いがあるという点では、「東京湾岸系」が一番である。江東区・墨田区から品川区にかけての隅田川下流と京浜東北線沿線は、中学受験にも熱心なタワーマンション世帯にも支えられて、どの学校も人気を増している。1日午前に3800人ほどが集まったこのエリアで、26年に勢いを感じたのは、ご近所同士の安田学園と日本大学第一、普連土学園、芝国際、青稜だろう。唯一、芝浦工業大学附属が緩和傾向となった。

 地味ながら年々受験生を増やしているのが「東京北区系」だろう。25年に比べて2割ほど受験者数が増えている。いずれもEからHランクの中位校から下で、ハードルが低めの“ゆるふわ受験“も可能である。その中の筆頭格が北里大学附属順天で、1日[1回A]は男子が25年より4割近く増加した。勢いが強いのは桜丘[1回]で6割半も増やしている。

 大票田ともいうべき受験生予備軍を抱えているのが、100万都市も目前の世田谷区だろう。隣接する武蔵野市や三鷹市、調布市なども含めた「東京世田谷系」には3800人ほどの受験生が押し寄せている。26年に勢いがあったのは、男子は類別をやめて一本化した東京都市大学付属[1回]、女子は東京農業大学第一[1回]だった。この両校は1日午後も多くの受験生を奪い合う関係にある。聖徳学園も女子が2割ほど増えている。男女共に人気があった学校としては、東京都市大学等々力[1回特選]、全体で1割ほど増やした三田国際科学学園[1回]と成蹊[一般1回]が挙げられるだろう。

 今回、26年2月1日午前入試の注目校として、明治大学付属世田谷、洗足学園、女子学院、山脇学園、東京都市大学付属、安田学園、文教大学付属の7校を挙げた。明大世田谷は共学化とMARCH系列校という点で26年入試の2つの特徴を兼ねていたこともあり、27年の動向が注目される。

 洗足学園は入試を2回に絞り、豊島岡女子学園と並ぶ存在になりつつある。女子学院は他の難関上位校では埋めきれない穴をあけ、2日入試では大波乱をもたらした。27年に1日に戻ったときにどうなるのか。また、今年は桜蔭に受かって山脇に落ちるという珍事も報告されるほど山脇の人気が過熱、午後入試の女王の座にはゆるぎないものがある。

 東京都市大学付属は東大合格実績2桁を機に、発展途上型のコース制をやめて募集の一本化を図った。世田谷という大票田で世田谷学園とは校風の異なる男子校として、今後の展開が見逃せない。安田学園は過酷な実倍率にもかかわらず、受験生を増やし続けている。中堅・中位校人気の一つの要因として、塾いらずの「面倒見のいい学校」という要素があるようで、文教大学付属ともども、世の中のニーズに合っているのかもしれない。

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