トランプ気まぐれ関税で
“笑う国”と“泣く国”はどこ?
トランプ氏の関税発動によって、1974年通商法122条を根拠とする関税が初めて発動された(詳細は最終ページ追加解説へ)。世界一律10%関税で、米国の平均的な実行関税率は、最高裁判決前の13.6%程度から10.2%程度に低下するようだ。関税率が15%だと、実行関税率は約12%になるとみられる(注:平均の関税率は、研究機関の推計方法などにより異なることがある)。
同氏の気まぐれともいえる関税により、プラスの影響を受ける国もあれば、マイナスを被る国もある。ここで、世界一律15%関税が実行された場合の影響を考えてみよう。
まず、プラス(メリット)が出る主たる貿易相手国は主に、ブラジルや中国、インドが挙げられる。グローバル・トレード・アラート(GTA)によると、ブラジルが米国に支払う関税は26.33%から12.77%に低下し、13.56ポイントの関税引き下げ効果があるという。ブラジルのルラ政権にとって、輸出増加による景気下支えは政権基盤の安定化につながる。
中国は7.14ポイントの関税引き下げ効果を得る。インドは5.63ポイントのメリットがある。主要先進国では、カナダの関税率は3.27ポイント低下する。
特に影響が大きいのは中国だろう。内需が弱含む中、輸出の重要性は高まっている。実際、中国は米国抜きの貿易体制の整備を加速させている。その中で、関税率の低下による対米輸出の回復は、中国経済の下支えにつながるはずだ。
一方、世界一律15%関税が実施されると、関税率が上昇する国もある。主に品目別の関税が、一律の関税に切り替わることなどに起因する。欧州主要国と日本と韓国などが追加の関税を負担することになると懸念される。
わが国の場合、15%の代替関税実施時の関税負担は、従来の14.9%程度から0.45ポイント上昇する可能性がある。ドイツの関税負担は0.63ポイント上昇する見込みだ。英国は2.05と日独よりもデメリットは大きい。韓国も関税率上昇に直面する可能性がある。
日本経済にとって、関税率が上昇する影響は甚大だ。2025年、自動車の輸出は前年比1.0%減の約417万台だった。関税によるコスト上昇で、最重要市場である米国向けの輸出は減少した。小幅であったとしても関税率の上昇は、自動車などの対米輸出にマイナスだ。







