【追加解説】トランプ関税
違憲判決とトランプ氏の反論とは

 米最高裁は2月20日、トランプ関税を違憲と判断した。米国の憲法は、関税を課す権限を連邦議会に与えている。トランプ大統領は議会承認を得ずに、独自の判断で関税を発動した。

 トランプ氏が、相互関税やフェンタニル関税の根拠にした国際緊急経済権限法(IEEPA)は、主には経済制裁の根拠法として用いられてきた。関税を主たる手段に定めた法令ではないとの指摘は多かった。

 1977年施行の同法は、大統領に国家安全保障上の脅威に対処する権限を付与した。手順として、まず、政府は経済安全保障上の脅威に対して、緊急(非常)事態宣言を発令する。その後、政府は金融・経済制裁を発動する。具体的な制裁は、米国が脅威とみなした国、組織、個人の資産没収などだ。外国為替や国債、株式などの取引、貿易取引を禁止することもある。

 そうした規定を考えると、昨年4月の相互関税などの発表後、トランプ政権の関税政策は違憲だとして提訴する米企業や民主党系の州知事は増えた。一審と二審では、原告側が勝利した。最終的に、最高裁もトランプ関税は違憲と判断したのである。

 最高裁判決に従えば、米大統領は、議会承認を得る方法での関税政策に回帰すべきとした。しかし、トランプ氏の対応は違った。最高裁の判決を「恥ずべき」と反論。1974年通商法122条を根拠に世界一律で関税をかけると発表した。

 1974年通商法122条は、大統領に、米国の輸入品に関税を課す権限を与えている。最長150日間、上限の関税税率は15%だ。大統領が国際収支の赤字削減などが必要と判断すれば、調査の完了を待たずに発動できる。上限期間を超えて関税を維持する場合は議会の承認が必要だ。

 同法122条は、1971年のニクソン関税の後継策として制定された。ニクソン政権は同年8月16日、金とドルの交換を停止した(ニクソンショック)。その後、ドルの為替レートは切り下げられた。貿易赤字やドルの為替レート是正を目的として、大統領が関税政策の裁量権を持つとしたのが1974年通商法122条の主旨である。

真壁昭夫さんのプロフィール