関税のデメリットは最終的に米国へ…

 米国の企業は、関税引き上げによるコスト増を最終価格に転嫁するだろう。今回の世界一律関税のデメリットの多くは、最終的に米国の消費者が負担することになる。

 今後、米国と中国の対立が先鋭化するリスクも残っている。トランプ関税のような場当たり的な政策により、米国経済の回復が鈍化することも懸念される。

 今や世界経済、国際情勢にとって最大のリスクは、トランプ氏の政策だ。ただ、その政策が、いつ、どのように(何を根拠に)、どのように発動されるかがほとんど予測できない。トランプ関税のリスクに対して企業は、憲判決の対象となった関税の還付を目指しつつ、備えることしかできない。

 一方のトランプ氏は、ドル高に対する警戒心を持っているようだ。報道によると1月後半の「ドル・円のレートチェック」はベッセント財務長官の主導だったようだ。ドルの過度な上昇に歯止めをかけようとした背景には、トランプ氏の存在があったことは間違いないだろう。

 トランプ氏は、関税に加えて為替政策からも貿易赤字削減、米国の製造業の復興と輸出競争力向上を考えているもようだ。

 エネルギー資源などへの支配力を強めるため、中東情勢への介入を強めている。あるいは再びEU加盟国などに対して、グリーンランドの所有を認めるよう圧力をかけることも懸念される。いずれも世界の金融市場と実体経済に重大なリスクだ。

 翻ってAI先端分野では、IT企業の多額のデータセンター投資による財務悪化への懸念が高まっている。株価の割高感も強い。中長期的にAI分野への成長期待は高いが、短期的に株価が調整局面を迎えることも想定される。

 11月の中間選挙に向けて、トランプ氏の言動は、ますます見逃せない。世界経済を支えてきた米国の株式市場が下落すれば、世界的にリスク回避へのシフトは避けられない。こうなると消費者心理は悪化し、経済成長率は低下するだろう。繰り返しになるが、トランプリスクは世界を混沌とさせている。