トミー氏の意外なマイブーム
「聖地巡礼」というワードを使用しているところも現代日本を学んでいるのを感じる。
ドラマではヘブンが、作家として気難しい面もありつつ、ユーモラスな面もある。トキや家族への深い愛情も感じられる。それはトミーさんのキャラクターなのかもしれないし、ハーンももしかしたらこんな人だったのかもしれないと思えてくる。
「ヘブンが日本に来たばかりのときと晩年のヘブンとでは、日本語や箸の使い方などの変化を調整しながら取り組んでいます。僕は箸の持ち方は西洋人にしてはヘタではないほうと自負しますが、ヘブンを演じるときはあえてヘタに持つようにしています。続けて見ていただくと、じょじょに箸を持つ手の位置が上にあがっていっていると思います。ただ、箸は使えますが、正座は無理です(笑)」
「ハーンさんは知らない国に来て、全身全霊で頑張っていた」というトミーさんの言葉が印象的だ。トミーさんも異文化に興味をもち、熱心に学んでいる。そのモチベーションは何だろうか。
「僕は子どもの頃から西洋の文化に違和感を覚えることがありました。僕がハーンさんと似ていると思うのは自国で安住するのではなく他国へ冒険心をもって積極的に探求していこうとしているところでしょうか。ハーンさんのほうが異国を学ぶのはもっと大変だったと思いますから、その情熱を心から尊敬します。
100年以上前の日本で外国人が勉強するのは、並大抵なことではなかったはずです。西洋と大きく違う環境にひとりで飛び込んでいくには、根拠のない自信みたいなのものもきっとあっただろうと思います。
ほかの国の文化に触れるときは、探究心や冒険心が大切な要素です。自分の文化に馴染めない感覚や、どこにも属していないような感覚が大切で、自分に合う場所はどこなのか探求することに繋がると思います。あとは、未知なる世界に飛び込むには、多少の無知も大事な要素です。日本語がこんなに難しいとわかっていたら、たぶん、日本にこなかったかもしれません。しばらくいれば慣れるだろうと思っていたんです(笑)」
確かに、言葉が通じない国にひとりやって来て、すぐ帰る旅行でなく、研究テーマを探しながら長く生活していくのは、容易なことではない。でもそれを心配していたらはじまらない。思いきって未知なる世界に身を委ねる心の余裕(トミーさんの言う、多少の無知)が物事を成すうえでは大切なのかもしれない。
もちろん日本人側の協力も必要だ。撮影現場では共演者たちがトミーさんに寄り添っているという。
「僕以外は全員日本人だからたまに会話についていけないこともありますが、松野家のみなさんがやさしく、僕に対してわかりやすい日本語を選んで、何回も話してくれて嬉しいです」
大阪での生活も楽しんでいる。
「ムエタイが大好きで、大阪で撮影しない日は必ずキックボクシングに行きます。最近、マイブームは銭湯に行くことです。非常にリラックスしています」







