友好的な人間関係の構築にはまず
自分の感情や欲求の管理が大事
自分の感情や欲求を優先することで、他者との良好な人間関係が損なわれるという事態を避けるためには、「自己制御」が重要になってきます。自己制御とは、自分の感情や欲求を適切に管理し、行動を制御することを指します。
私たちには、様々な感情や欲求がありますが、それをそのまま行動に反映させると、人生における重要な目標の達成を妨げたり、他者との調和的な関係を乱す可能性があります。
たとえば食欲のままに食べると、健康を損なってしまいますし、その場の楽しさを優先してまじめに仕事をしなければ、生活の破綻を招くかもしれません。また怒りを他者にぶつけることを繰り返すなら、友好的な関係の構築が困難になるでしょう。
自己制御は、快楽を求める気持ちを抑えたり、個人にとって望ましくない結果をもたらす行動をコントロールすることですので、心理学では、学習や健康関連の行動を対象とした研究が多くなされています。
たとえば、遊びたいという短期的な快楽追求の欲求を抑えて、さぼらず勉強をするとか、禁酒、禁煙、ダイエットにはげむなどです。
これらは目の前の快楽という短期的な望ましさと、学業で優れた成果を収めることや健康を維持することなど、長期的な観点から得られることの望ましさとの葛藤がある中、後者を重視する行動です。
研究では、そのような行動につなげるための方略や、その成否に関わる要因などが、主たる論点となってきました。
そこでの知見は、他者との相互作用における行動の制御にも適用できるものです。配慮という文脈では、自己中心的な視点から生じた、「いま、自分の心の中にある」他者に対する感情や認知を制御し、長期的な視座も持ちつつ、どう振る舞うのが良いか考えることが望まれます。
これには、他者に対する不適切な感情や欲求を抑え、バランスの取れた関係を維持していくための振る舞いを選択するという、自己制御の過程が関わります。
いま経験している感情や欲求を冷静に見つめて表出を抑制するとともに、今後の関係を損なわないよう適切な行動を選択することは、ダイエットという長期的な目標達成のために、現在の食べたいという衝動をおさえることと似ているのです。







