仕事を「任せているつもり」に
なっている人の特徴
優秀なプレーヤーからリーダーになった人が陥る最初の罠は、「自分のコピー」を作ろうとすることです。
3人程度の小規模なチームであれば、あなたが人一倍頑張り、全員に細かく指示を出せば、短期的には成果が出るかもしれません。しかし、もしあなたが1000人の組織を率いる立場になったらどうでしょうか。
当然、一人で1000人分の仕事を抱えることは物理的に不可能です。その規模になれば、誰だって「自分は人に任せている」と思うでしょう。
しかし、現実はどうでしょうか。メンバーに対して工夫する自由や判断する権限を与えず、事細かに指示を出し、進捗を分単位でチェックする……。そんな「マイクロマネージャー」でいる限り、それは「任せている」とは言えません。
形だけ仕事を振っていても、魂を預けていない。これは「権限委譲」ではなく、単なる「作業の外注」です。リーダーがボトルネックとなり、組織のスピードを奪い、メンバーの思考を停止させている。これこそが、現代の組織が抱える最大の経営リスクなのです。
「任せる」の本質は
最も知的な「人的資本投資」である
では、「任せる」とは一体何を指すのでしょうか。
私はこう定義しています。
「任せる」とは、楽をすることではなく、部下の可能性に『賭ける』という最も知的な「持続可能な発展」のための投資である――。
今の日本企業において「人的資本経営」が叫ばれていますが、その本質は研修制度を整えることだけではありません。
現場における最大の投資とは、リーダーが勇気を持って「決定権」を部下に譲り、彼らに「成功と失敗の原体験」を積ませることです。
「自分でやったほうが早い」という誘惑に打ち勝ち、あえて部下にハンドルを握らせる。それは短期的な効率を犠牲にして、長期的な組織資産を築く行為です。
経営施策としてこれほど重要で、かつリターンの大きい「人的資本投資」は他にありません。







