表4-1をみてください。日本政府は、他国も漁獲しているこれらの魚種について、漁獲圧(編集部注/水産資源に対してどれだけ強い力で漁獲を行っているかを示す「漁獲の強度」のこと)を上下させることで資源管理を行おうとしていますが、表4-1は、コントロールすべき漁獲圧が日本漁業によってどれだけ管理できるかを調べたものです。

表4-1 神戸チャートにおける漁獲圧比率の日本漁業の寄与率同書より転載。神戸チャートとは資源量と漁獲圧を、MSY[最大持続生産量]を基準に色分けして評価したグラフのことを指す 拡大画像表示

新たな資源管理の目標実現には
日本の漁業の完全禁止が必要!?

 資源評価の結果で示された全体の漁獲圧(日本を含むすべての漁獲国による漁獲圧)とMSY水準の漁獲圧との比(F/Fmsy)を計算した際、これが1を上回る(灰色のコラム)場合は「乱獲」とされますが、この全体の漁獲圧から計算された数字を、全体の漁獲量に占める日本の漁獲量の比で案分すると、この比率(F/Fmsy)における日本漁業の貢献度(寄与率)が計算される、という仕組みです。

 表4-1からみてとれるように、他国の漁獲を含む全体の漁業の漁獲圧(最も左のコラム)は多くの系群でMSY水準を超えています(灰色のコラム)。しかし、日本だけの漁獲量でこれを補正すると、数字が1を下回るものが多く、多くの系群で灰色のコラムが消えていることがわかります。

 この結果が意味するところは、現在進められている「新たな資源管理」では、資源管理目標がMSY水準に置かれ、それを実現するためにしきりと漁獲圧の削減が必要だと水産庁は力説するものの、すでに日本だけの漁獲圧で見るとその漁獲圧はMSY水準以下の数値に下がっており、日本だけなら目的とする資源管理は実行できているという事実です。

 逆に言うと、日本の科学者がしきりに言う漁獲圧の削減は、他国も含めて実施しないと目的は達成できず、このまま毎年の資源量計算を進めていくと、他国は規制のないまま獲りたいだけ獲り、そのぶん日本の漁獲圧の削減分にしわ寄せがきて、最終的には日本の漁獲圧をゼローーすなわち日本の漁業をまったく禁止することでようやく目標に到達するというモデルを実施し続けてしまうことになるのです。