話を戻そう。モビリティ・グローバル・エリートを含む彼らは、勝者総取り方式のグローバル資本主義の中で、新しくて極端な不平等が生じた結果として、高い移動性を享受している。そのことを示すように、年収1500万円以上の人の海外渡航経験を分析すると、これまでの観光娯楽目的の海外渡航経験が10回以上とかなり多い回答者が35.5%(全体平均12.7%)、仕事目的の海外渡航経験10回以上の回答者が41.9%(全体平均6.7%)と、全体平均よりも圧倒的に高い割合で経験していることが明らかになった。
観光旅行をめぐる
自由さの格差
観光旅行をめぐっては、移動の自由との関連で興味深い実態もみえてきた。図表6は、「あなたは、観光旅行目的で、自分が移動したいときに自由に移動できますか?」という質問に対する回答である。
同書より転載 拡大画像表示
調査の結果、年収300万円未満の回答者と600万円以上の回答者は、観光旅行目的での自由な移動可能性に14%ポイントほどの差があることが明らかになった。将来の移動可能性や、今後、移動する価値があると判断したとき再び移動できる能力が不均等であることを示唆する結果である。移動をめぐる経験と、認識や意思は密接に関連しているというわけだ。
こうなると気になるのが、「どのぐらいの人が、移動したかったけれどできなかった経験があるか」である。
「海外に行きたかったけれど行けなかった経験」の有無を聞いたところ、「ある」が36.0%、「ない」が64.0%という結果となった。約3人に1人が、さまざまな理由で海外への移動を断念した経験があるということだ。







