そもそもそれまでWBCはテレビで無料で見られたというのも主要な不満ポイントのひとつである。2023年WBCの日米決勝戦は42.4%という高視聴率(世帯平均視聴率・関東地区)を叩き出した。WBCはオリンピックや紅白と同じようにテレビをつければやっている国民的イベントで、テレビとともに親しまれてきた歴史があった。
今回WBCが起こした「サブスクへの抵抗感」は、単なるサブスクという支払い体系への反感だけにあらず、国民的イベントのテレビ→サブスク化という文化の変革期に現れる大きな違和感・新しいものへの拒絶反応といった大衆の心理が大きく作用している。
見たい時だけ視聴権を買う「PPV」
能動的な課金は現代にマッチ
近年、配信サービスの充実によってスポーツ観戦やライブ視聴などの形態が変わってきている。テレビで無料でやっていなければ有料の月額放送で、そのあとにDAZNなどのサブスクが出てきた。
サブスクの広がりと別路線で近年出てきたのがPPV(Pay Per View)方式で、これは1試合や1公演ごとに配信を視聴する権利を買う仕組みである。
昨年末の井上尚弥らが出場した世界イベントはPPVで4950円~だった。相場感の参考にできる数字だが、イベントごとに価格差が大きくなるのもPPVの性質上あり得る。主催者はファンの熱量を鑑みながら自由な価格設定が可能で、イベント1発あたりの収益を最大化できるのがPPVの特徴である。
サブスクやPPVは人気の全体像を明確化する。テレビは視聴率で人気をはかることができたが、たとえば2023年WBCの「視聴率42.4%」は、そのうち何割がコアなファンで、何割がなんとなくテレビをつけて流していたライト層なのかは判然としない。
その点サブスク・PPVは熱意ある層からしっかりと収益を促せる。消費者が推しや興味ある対象にお金を費やすことを能動的に求められる課金システムは現代によくマッチしている。
スポーツ番組のテレビ→サブスク・PPV化は、企業にとっては効率よく収益を上げるメリットとなるが、消費者には何をもたらすか。







