――日本は原油をほぼ100%輸入に依存しており、そのうち90%以上が中東からの調達です。危機的状況だと思いますか? 打開策があるとすれば何でしょうか。

 資源を自国で持っていないことが必ずしも弱点になるわけではありません。国際貿易の観点では、資源の乏しい国でも技術力や産業競争力を持つことで必要な資源を世界市場から調達することは十分可能です。日本も長年、その仕組みの中で経済を維持してきました。

 とはいえ、地政学リスクが高まる状況ではエネルギー供給の多様化が重要です。打開策としては、第一に輸入先の分散、第二に再生可能エネルギーの拡大、第三にエネルギー効率の向上を目指すべきです。

 日本のような高度な工業国は、エネルギー消費を減らす技術革新や電化の進展が、長期的な安全保障につながります。破局的な弱点というわけではなく、技術革新やエネルギー転換によって徐々にリスクを減らすしかありません。これ以外に解決策はないでしょうね。

――日本は対中関係でも困難があり、そのひとつがレアアース問題です。今では中国のレアアース禁輸で米国も打撃を受けていますね。日本は遅まきながら国産レアアースに取り組んでいますが、これは対中国戦略で効果的でしょうか。

 レアアース問題は「資源の争奪戦」と捉えるのではなく、もう少し冷静に、グローバルな供給網の問題として捉えるべきです。中国は世界のレアアース生産で大きなシェアを持っており、2010年の尖閣漁船衝突事件の際に日本への輸出を制限したことは、資源が政治的に利用され得ることを示した象徴的な出来事でした。

 こうした資源問題では、市場メカニズムが長期的には代替供給や技術革新を生み出す契機になります。そのため、中国との関係については、完全な経済的分断を目指すよりも、供給源の多様化と国際的な協力によってリスクを下げることが現実的です。

 例えば、日本や米国、オーストラリアなどが協力して供給網を広げることで、中国による資源の政治利用の影響を弱めることができます。