また、日本が進めている国産レアアース開発については、意味はあるものの、それだけで問題が解決すると考えるのは単純です。レアアースの採掘や精製はコストが非常に高く、環境負荷も大きいため、完全な自給を目指すよりも、代替技術の開発やリサイクルの拡大などを含めた広い産業政策の中で考えるべきです。

 したがって中国のレアアース支配は確かに地政学的リスクではあるものの、長期的には市場の調整や技術革新、そして供給網の多様化によって対応していくべきだと思います。

――日本では、減税政策などによって通貨・国債・株が「トリプル安」に陥るという、「英トラス・ショックの再来」を懸念する声もあります。日本でもショックが起きるでしょうか?

 日本で英国のようなショックが起きる可能性は、どちらかというと低いでしょう。英国では、トラス政権が大規模な減税を打ち出した際、財源の裏付けが不十分だと市場に受け止められ、国債利回りの急上昇と通貨安が同時に起きました。

 まず、日本の国債の大半は国内で保有され、政府は自国通貨で借金をしているので、海外投資家の信頼が突然崩れて資金が一斉に流出するような構造にはなりにくいです。

 また、日銀が国債市場に強く関与していることも、市場の急激な混乱を抑える要因になります。そのため、英国で起きたような急激な金融パニックが日本でそのまま再現される可能性は低いでしょう。

 ただし、減税しても成長戦略に結びつかず、単に財政赤字を拡大させるだけであれば、市場が不安を抱く可能性は否定できません。そのため日本でショックの再来が起きるとは思いませんが、一方で、政策は信頼性と整合性を持って設計されるべきだと思います。

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