したがって、後の懲戒処分の有効性をより確度の高いものにするためにも、自宅待機中の賃金は必要なコストと考えて、100%の賃金を支払うことが無難であるといえます。
起訴されたことだけを理由に
休職を発令することは可能か
Q 社員が逮捕・勾留後に保釈されました。当社には就業規則において起訴休職の定めがあります。裁判が終わるまで起訴休職としてよいでしょうか。
A 起訴の事実のみを理由として、起訴休職を発令すると違法となるリスクがあります。保釈中において起訴休職を発令するに当たっては、(1)対外的信用の失墜や、職場秩序維持の観点から、客観的にみて就労禁止がやむを得ないといえるような事情が必要であり、(2)有罪となった場合において予想される懲戒処分との関係で均衡がとれているといえる必要があります。
起訴休職とは、刑事事件で起訴された社員の就労を免除・禁止する措置です。起訴休職をするに当たっては、就業規則や労働協約において根拠となる規定が存在することが必要です。
なお、「起訴休職」という明示的な定めがなくても、「その他会社が必要と認めるとき」に休職を認める規定(いわゆる「その他休職」規定)がある場合には、起訴を理由とする休職発令をすることが可能と考えられています(明治学園事件・福岡高判平成14・12・13労判848号68頁参照)。
起訴休職の定めを設けている多くの会社では、休職期間中の賃金を無給としておりますので、この点において、起訴休職は前節の自宅待機命令と大きく異なります。
そもそも休職とは、基本的に、私傷病休職のように客観的・物理的に就労が困難であるような事情がある場合を念頭に置いた制度です。したがって、起訴休職においても、その有効性が認められるためには、客観的・物理的に就労が困難といえることが必要です。
この点、起訴後においても勾留状態が継続している場合においては、客観的・物理的に就労が困難といえるため、起訴休職を発令したことが違法となるリスクはほぼないでしょう。







