八:それはそうなのですが、やっぱり大量生産の工業製品なので、部品のバラつきや組付け精度のバラつきがあるんですよ。そのちょっとした差の集積によって、ものによって4.0kWを超えてしまうカブができてしまう可能性がある。だからあえて3.5kWに抑えているんです。

F:4kWギリを狙って生産すると、それをオーバーしてしまう個体が紛れ込む可能性があると。

八:はい。結果として違法なものを提供することになりますから、最終的にはお客様に迷惑がかかってしまう。メーカーとして、それはあってはいけないことなので。

F:客としては「アタリ」のバイクですけどね、それは。

八:……そこはまあ……何とも申し上げようがありません(苦笑)。

50ccエンジンでも、本当はかなり馬力を出せる

F:昔は50ccでも凄い馬力が出ていたモデルがありましたよね。

八:2ストの時代は確かにありました。NSR50 とか NS-1は10000rpmで7.2psとか。スクーターでもDio ZX が 7.2psを出していました。今の規制上限である4.0kwを馬力に換算すると5.4ps相当ですから、昔の2ストは相当なパワーがあったということになります。

 そう言えば昔は各社申し合わせの“自主規制”がありました。250ccなら45ps、400ccなら59ps、ナナハンなら77psという具合に、カタログ値は4社きれいに横並びでした(笑)。

F:自主規制。自動車の国内最大280ps時代と同じですね。しかし原付50ccが7.2psも出ているのに、750ccで77psというのも妙ですね。同じバイクでも、海外ではもっと出していたんでしょう?

八:はい。ウチの場合だと、VFR750Rの欧州仕様は112psでしたね。何にせよ、4.0kWと法律で上限を設定したのは今回が初めてだと思います。

スーパーカブを支える「横型エンジン」の合理性

八:ところでフェルさん。今回はスーパーカブ110とスーパーカブ110 Liteの両方に試乗されたんですよね?

新基準原付の「スーパーカブ110 Lite」(右)と、小型二輪免許が必要な「スーパーカブ110」(左)新基準原付の「スーパーカブ110 Lite」(右)と、小型二輪免許が必要な「スーパーカブ110」(左) Photo by A.T.

F:はい。両方の乗り比べ試乗をさせていただきました。同じエンジンに同じボディ。ブレーキも同じ。それを調整だけで、今日聞いてさらに驚いたのは、吸気量を抑えただけで、あれほどの差が出るとは本当に驚きです。

 いま日本で売っているカブのエンジンは、110ccと125ccになりますか。たったのプラス15ccですが、これはまたかなり変わってきそうですね。

八:はい。かなり変わります。速度的にもかなり変わってくる。ウチの横型エンジンは。

F:横型エンジン、ですか?