なぜ110ccベースの新しい原付「スーパーカブ110 Lite」が必要だったのか

八:いや、負荷をかけて走り続けても、新基準原付の規制をクリアするのは難しい。速く走ればそれだけ走行風でマフラーが冷やされる量も増えますから。

F:なるほど。それで110ccと従来の倍以上の排気量で熱量を増やして、と。

 しかしノーマルの110と110 Liteで、5.9kWから3.5kWへのパワーダウン。同じエンジンでありながら、あれほどの差が出るとは驚きです。いったいどのようにして出力の差を付けているのですか?電子制御の調整だろう、と想像しているのですが。

八:いえ、電子制御はほとんど入れていないです。原付二種と新基準原付で、電子制御はほぼ変わりがありません。ただ、ライトの方に制限速度60kmのリミッターをかけるという違いはありますが。

吸気を絞るだけでパワーは落とせる

八:出力の差は吸気量の差です。シリンダーの中にガソリンと一緒に空気を流し込むのですが、その時の空気量を絞っているんです。

F:吸気を制限して出力を絞る。つまりレースの性能均一化のために使う「リストリクター」と同じ考え方ですね。あれも吸気口を小さくして馬力を制限しますよね。

八:そうですね。単純に“吸気量を制限してパワーを落とす”という意味では同じですね。

F:実際に中を見ると、吸気口が小さいんですか?

八:吸気口……と言うのかな。普通の管ですね。取り入れ口を細くしています。

F:すると悪い人が中を開けて太い管に変えたら、速く走れるようになるんですか?

八:速くなるし加速も良くなります。でも結局は60km/hでリミッターがかかりますが。

 でも、それは違法改造です。やったら捕まりますよ(笑)。そう簡単に改造ができないようにしています。取り外しには専用工具が必要ですし。誰でも開けたらポン、とはいきませんよ。

F:それにしても、えらく単純な仕組みですね。

八:あえて単純にしています。複雑にすればするだけコストが掛かってしまう。当然販売価格にも反映されます。お客様が買えないものを造ってもしょうがない。カブの精神に反します。

時速60kmくらいになるとリミッターが入った感覚がある

F:ライトの方も、もともとは60km/hのリミッターを叩くくらいの実力は持っているのですよね?

50ccカブに代わって登場した新基準原付のスーパーカブ110 Lite。エンジンは110ccだが、出力が下げられている50ccカブに代わって登場した新基準原付のスーパーカブ110 Lite。エンジンは110ccだが、出力が下げられている Photo by A.T.
スーパーカブ110 Liteのスピードメーターは60km/hまで。ちなみに小型二輪免許が必要なスーパーカブ110のメーターは140km/hまで刻まれているスーパーカブ110 Liteのスピードメーターは60km/hまで。ちなみに小型二輪免許が必要なスーパーカブ110のメーターは140km/hまで刻まれている Photo by A.T.

八:はい。従来の50ccでもリミッターが効くくらいの速度は出たのですが、最後に「カクッ」と効く程度でした。今回の新基準110ccだと、60km/hになると「ゴゴゴ」という感じで明確にリミッターが入った感覚を感じるはずです。あ、これはあくまでもクローズドのテストコースでの話ですよ。公道で試してはいけません(笑)。

F:新基準原付の出力基準は上限が4.0kWです。スーパーカブライトはそれを3.5kWに抑えてある。なぜ基準ギリギリのところに設定しないのですか?4.0kWにしたほうが、より余裕のある走りを実現できませんか?