また、アルツハイマー型認知症は、アミロイドβやタウというタンパク質が脳内に異常に蓄積することが発症の原因だと言われています。
α-シヌクレインやタウ、アミロイドβは、一晩寝ないだけでヒトの脳内に蓄積するという報告があります。また、最適な睡眠時間が10時間半のマウスに4時間しか睡眠をとらせない状態を3週間続けると、脳内にアミロイドβが大幅に蓄積したという実験結果もあります。
睡眠には認知症の原因となる異常なタンパク質を脳内から除去する役割がありそうです。ただし、レム睡眠とノンレム睡眠のどちらの役割が重要かはわかっていません。
2013年、脳内を満たす間質液と脳脊髄液の流れによって老廃物が洗い流される「グリンファティックシステム」が、ノンレム睡眠中に活性化してアミロイドβなどの除去が加速するというマウスの実験報告があり、大きな注目を集めました(注1)。
ところが2024年、ノンレム睡眠中の老廃物の除去作用は覚醒時よりも低下しているというマウスの実験結果が発表されました(注2)。
現在、ノンレム睡眠中のグリンファティックシステムについて、活発な議論が行われているところです。
レム睡眠の時間が短いと
認知症発症率や死亡率が高まる
それでは、レム睡眠と認知症に因果関係はあるのでしょうか?
米国で健康な60歳の人たちを集めて睡眠状態が測定され、およそ12年後、その中で認知症を発症した人について調査が行われました。
すると、認知症を発症した人たちは、60歳のときにレム睡眠が短かったことがわかりました。一方、全体の睡眠時間やノンレム睡眠の時間と認知症の発症には、明確な相関関係は認められなかったそうです。
さらに衝撃的なことに、レム睡眠が短いことは死亡率が高いことと関連しているという調査結果もあります。因果関係はまだ不明ですが、レム睡眠は脳と身体の健康維持に欠かせないようです。
(注1)Nedergaard M. Science 340(6140):1529-1530 (2013)
(注2)Miao A. et al., Nat Neurosci . 27(6):1046-1050 (2024)







