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仕事が終わらず徹夜で作業をしたことはないだろうか。実は、一晩眠らないだけで脳にゴミが蓄積し、それが認知症の原因物質になるという。たかが睡眠と侮っていると、健康を大きく害す可能性がある。※本稿は、精神科医の加藤忠史編『「心の不調」の脳科学 脳の中で、何が起きているのか』(講談社)のうち、林悠執筆部分を抜粋・編集したものです。

認知症発症の原因は
睡眠不足で生まれる

 睡眠と認知症の関係について見ていきましょう。

 レム睡眠(編集部注/脳が活発で夢を見やすい眠り)中は、夢の中で敵と闘ったり逃げたりしても、実際には身体は動きません。筋肉は脳や脊髄からの指令によって動きますが、レム睡眠中には、その信号が遮断されて脱力状態になるため、身体は動かなくなるのです。寝返りをするのもレム睡眠中ではなくノンレム睡眠(編集部注/脳と体を休める深い眠り)中です。

 ところが、夢の中での行動のとおりに実際に身体が動いてしまう「レム睡眠行動障害」という疾患があります。それによって、本人や隣で寝ている人が怪我をしてしまうケースもあります。

 このレム睡眠行動障害の症状が現れた人は、高い確率で、運動障害の症状を示すパーキンソン病や多系統萎縮症、あるいはレビー小体型認知症のいずれかを発症します。

 これらの疾患はいずれも、α-シヌクレインというタンパク質の形が異常になった結果、凝集して脳内に蓄積し、神経細胞の機能低下や細胞死を引き起こして発症するという共通点があります。