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腎臓の機能が低下した患者さんに、人工腎臓を使い、血液中の余分な水分や老廃物を取り除くのが「人工透析」です。透析と聞くと、多くの人が週に何回も病院へ通って行う「血液透析」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし透析には、もう一つの方法があることはあまり知られていません。場所を選ばず自分で行えるので通院の必要がなく、痛みもないのに、日本での導入率はわずか6%ほどに留まる……。それはどんな治療法なのか?そして高齢の患者さんが行う場合の現実的な課題は何かを解説します。※本稿は、医師の鈴木孝子『からだの声を聴く習慣 腎臓内科医が教える幸せな人生への処方箋』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
患者が自ら透析液を入れ替える
「腹膜透析」という方法
透析療法には血液透析のほかにもうひとつ、「腹膜透析」という方法があります。腹膜とは、胃や腸、肝臓などの臓器を包んでいる膜で、血管も通っています。
腹膜透析は、お腹の中に透析液を入れ、腹膜を使って血液をきれいにする治療法です。お腹に出入り口を作り、カテーテルという管をつないで透析液を入れ、数時間ごとに入れ替えながら、老廃物をからだの外に出していきます。お腹の中に高濃度の透析液を入れると、腹膜を通して浸透圧などの原理が働き、血液中の老廃物や余分な水分が透析液へと移動していきます。同時に、透析液中の必要な成分が体内に吸収されるのです。
腹膜透析は自己管理が基本です。「バッグ交換」と呼ばれる透析液の入れ替えを、ほぼ6時間ごとに行うのが一般的です。朝6時に交換したら、お昼に2回目、その後、夕方6時、夜12時という具合です。これを患者さん自身で行うのですが、カテーテルを清潔に保つことなど、留意点も多くあります。
また、高齢の患者さんの場合、身体の不自由さに加え、病気の後遺症を抱えていたり、認知症が進んでいるということもあります。そうした場合は、訪問看護など医療スタッフとご家族が協力して行っていくということが、現実的な解決になります。







