だからこそ、ある程度の年齢になると「どうせ自分はこれ以上、上に行くことはない」という一種の諦めの感情を抱き、一方で、目の前の業務に追われる中で「今さら新しいことや余計なことをして、失敗のリスクを負いたくない」という自己防衛の反応を見せるのです。さらに出口の見えない漠然とした不安が渦巻いていることが多くあるように感じました。

 ここでマネジャーが陥りがちなのが、年上だからと変に遠慮して「放置」するか、あるいは滞る業務に痺れを切らして「指示に従ってください」と高圧的に接してしまうことです。

 しかし、これらはどちらも彼らの「居場所」を奪い、頑なな指示待ち姿勢を強化するだけです。

役割の再定義とリスペクトの表明で
「チームのために」動いてもらう

 解決方法は、実にシンプルです。ポイントは、「これまでの経験への敬意(リスペクト)」と、「今の自分でも、このチームの役に立てるという確信」です。

「○○さんのこれまでの知見や、かつてあの修羅場を乗り越えた経験を、今のチームのリスク回避のために貸していただけませんか?」

 このように「教える」のではなく「教えを請う」姿勢、あるいは「プロとしての専門性を頼る」姿勢を見せてみてください。自分という人間の価値が組織に再認識されたと感じたとき、彼らの中に眠っていた「プライド」は、現状維持のための壁ではなく、チームを支えるための強力なエンジンへと転換されるかもしれません。

>>後編『「自走する部下」の上司がひそかにやっている“たった1つのこと”』を読む