ジムでトレーニングをする女性写真はイメージです Photo:PIXTA

健康や見た目の維持のために、筋トレに励む人は多い。しかし、スポーツ医学を研究している筆者によれば、ほんの少しの工夫でその若返り効果は大きく高まるという。自宅でも簡単に取り入れられるトレーニングのやり方など、アンチエイジングの視点から新しい筋トレ法を伝授する。※本稿は、運動生理学者の青井 渉『筋肉はすごい 健康長寿を支えるマイオカイン』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

健康寿命を伸ばすには
筋肉の維持が必要不可欠

 日本は世界有数の長寿国で、平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳(令和5年)です。一方で少子化が進み、人口の28%以上を65歳以上の高齢者が占める現状です。そこで今、日本社会の課題となっているのが社会保障、つまり年金や医療保険費、介護保険費の拡大です。

 また、人生の終末期を病床で長期間過ごすことは、多くの人にとって本望ではないでしょう。高齢になっても自立した生活をし、行きたい場所へ行き、自由に活動できることが幸福感につながるはずです。そのため、医療や介護に依存せず、自立した生活ができる生存期間=「健康寿命」を延伸することが重要です。

 健康寿命を延ばすためには、加齢によって起こる体の機能の低下を防ぐことが大事です。特に、身体を自分の意思で自由に動かせることは、QOL(Quality of Life:生活の質)を維持するためのカギとなります。

 日常生活では、歩いたり、服を着たり、何かを持ったり、食事をしたり、運動と言わずとも日常のありとあらゆる活動を行うには筋肉の働きが必要です。歳をとって筋肉の衰えが進行すると、例えば物を掴むことや衣服の脱着、食事、歯磨きなど、生活に必要な最低限の活動をするのも難しくなります。