血管を押さえつけるだけで
普通の筋トレも効果アップ

 筋トレ法の1つに血流制限下でのトレーニング、いわゆる「加圧トレーニング」があります。四肢の付け根にバンドで圧をかけて血液の流れを制限し、軽い重量でも筋トレ効果を高めるものです。

 このメカニズムは次のようなものです。血流を制限することによって、筋肉に送る酸素を少なくします。低酸素状態になると、筋肉は酸素がなくてもエネルギーを作ることのできる解糖系を使用するようになります。

 白筋は赤筋に比べて解糖系を豊富に持ち、力が強く、肥大しやすいのが特徴です。そのため、圧をかけた状態で筋トレをすると、白筋を選択的に鍛えることができるのです。

 通常、白筋を鍛えるには高重量のダンベルやマシンでトレーニングする必要があります。しかし、圧をかけることによって、軽い重量であっても白筋を効率的に鍛えることができます。見方を変えると、高重量を使っているかのように、筋肉をうまく騙しているともいえるでしょう。また、重たいものを使わずに済むので、関節への負担を軽減し、怪我の予防にもなります。

 このトレーニングのメカニズムは、白筋を効率よく鍛える効果だけではありません。圧をかけている間は、筋肉から出てくる二酸化炭素や代謝産物が血液によって流れ出ず、筋肉付近に留まった状態になります。これが刺激となり、成長ホルモンなどの分泌が高まり、筋肥大へとつながるタンパク質の合成が高まります。

 先に述べた通り、成長ホルモンは、肌のコラーゲンを合成したり、骨を強くする効果も期待できます。そのため、美容やアンチエイジングを目的に、このトレーニングを行っている方も多くいらっしゃいます。

同じ重量を持ち上げても
成長ホルモンの分泌量は大差

 一方で、血流制限をするのに必ずしも器具を使って圧をかける必要はなく、一般的な筋トレのフォームやスピードを調整することによって、それに近い効果を得られます。

 例えば、重りをゆっくり上げ下げする方法があります。通常の筋トレでは、重りを2秒程度かけて上げ、2秒程度かけて下ろすのが標準的なスピードでしょう。これを、半分のスピードにして4秒かけて上げ、4秒かけて下ろすと、筋収縮により血流が制限されている時間が2倍になります。

 さらに、上げきったところや下ろしきったところで、筋肉を緩めずにすぐ次の動作に入るようにすれば、血流の制限時間をさらに長くできます。その結果、軽い重りであっても十分に筋肉に負荷をかけることができ、成長ホルモンの分泌を増やすことができるのです。

 もちろん、血流制限下でのトレーニングが全てではありません。目的に応じてトレーニングの方法を考えるのが良いでしょう。