田澤税理士:タンス預金は自宅にある現金であり、保有すること自体は違法ではありません。しかし、タンス預金は存在に気付かずに相続税申告から漏れてしまうこともあるため、ご逝去後に相続人の方々が隠されている財産がないか、慎重に調べる必要が出てきてしまいます。
田澤 広貴(たざわ こうき)/税理士。いちよう相続・税務サポート代表。不動産専門税理士事務所にて、相続税申告や不動産オーナーの税務業務に従事。現在は相続税・不動産に関する税務を中心に、幅広い相談に対応している。複雑になりやすい相続・不動産の税務をわかりやすく整理し、依頼者にとって納得感のある提案を心がけている。
こうした作業は相続人の方々に重い負担を強いる作業のため、できる限り生前から減らしておきましょう。後世に残したい場合は、各種贈与の制度や生命保険の活用を検討することもおすすめです。
また、預貯金とは異なり、タンス預金は自然災害や火災、盗難などによって失われる可能性があります。自宅に置いているだけでは金利による運用益もゼロであり、インフレ下では実質的な資産の目減りも進みます。現金を手元に置く安心感は理解できますが、リスクを考えると、タンス預金に頼りすぎることは得策ではありません。
――タンス預金は相続時以外にも注意点はあるのでしょうか。
田澤税理士:へそくりとして持っていたタンス預金を減らすために、一気にご自身の預貯金口座にお金を預けると、税務署は申告外の所得が発生したことが疑うことがあります。すると、所得税の税務調査の対象となることもあるのです。
所得税の税務調査は、原則として過去3年分さかのぼって行われますが、不正が疑われる場合は過去7年分までさかのぼって行われることがあります。
調査では銀行口座の入出金履歴が精査されるため、突如現れた多額の現金の「入手経緯」について、給与や贈与などの正当な裏付けが取れないと、所得隠しを指摘され追徴課税(重加算税など)の対象となる恐れがあります。
資産は不透明な現金管理を避け、適切な形で保有・管理することが肝要です。







