しかし、皆さん、よく耳を澄まして世間の声を聞いてください。今の日本経済を「実力以上のバブル経済だ!」と指摘している人は非常に少ないと思いませんか?今の株高は、我々が経験した1980年代のバブル経済とは確実に違う、と私は思っています。
あの頃は日経平均株価のPERは、通常が15倍程度のところ60倍をつけていたわけです。当時約3万8000円まで上り詰めた株価も、本来であれば9000円程度だったというのが実態です。ところが、今の日経平均株価のPERは、せいぜい20倍いくかいかないかくらいです。
加えて、あの頃とまったく違うのは、日本は今後、人口がどんどん減少していきます。そうしたなかで、AIやデジタル化を積極的に取り入れて労働生産性を高めようと努力しています。こうした技術的恩恵をもっとも享受できている状況にあるのが、今の日本経済です。
日本株はまだ伸びる
長期投資に吹く追い風
また、これも少しお話ししたとおり、今の日本経済の状況について「ようやく“失われた日本”を取り戻しつつある」といった表現や「日本経済が復活しつつある」みたいな声をよく聞きませんか?
そうなんです。決して今の日本経済は実力を出しきった頂点の状態ではないのです。まだまだ改革の余地があり、まだまだ成長の余力があるのです。そういう意味で、長期で「推し株」を持つことが、とても有利な状況なんです。
また、私が今後10年で非常に大きなポイントだと考えているのは、アメリカとの関係です。今、世界の秩序が大きく変わろうとしています。中国が2040年代に向けて、アメリカの覇権国家としての地位を奪おうとしている現状に対し、アメリカとしてはそうはさせまいと必死です。
トランプ大統領が関税をカードに様々な交渉をしているのは、ある意味では当然のことです。そうしたなかで、対中国という視点で考えた時、今のアメリカほど日本をパートナーとして強く求め、期待しているタイミングもないのではないかと考えています。
このあたりの話は齋藤ジンさんの『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(文春新書)を読んでいただければ、よくわかります。
『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』(杉村太蔵、文藝春秋)
アメリカはカジノのオーナーです。オーナーとして「日本を再び勝たせる席に座らせる」というのです。その壮大な戦略のひとつが、石破政権がトランプ大統領に約束した米国での80兆円投資です。むしろ、本当に中国が覇権的な振る舞いをしてきた時に、「80兆円という金額で日米の経済安全保障をしっかり守れるサプライチェーンを構築できるのか?」という視点で、議論すべきなのです。
そうした大きな流れの中で日経平均株価が5万円を超えてきたわけです。したがって、この数字というのは私にとって決してピークを感じさせる数字ではありません。逆に私たち国民もこの数字をピークで終わらせてはいけないのです。
政府はGDPを1000兆円から1200兆円にしようと、目標を掲げています。そのためにAIやデジタル化を積極的に推進しなければならないという非常に明確な方針が示されているわけです。官民一体となってようやく再興しはじめたばかりの日本経済をさらなる高みにもっていくのが、今後、私たちの個人投資家の役割だと強く感じています。







