管理不全に対処する法改正
「管理組合の実情に合った運用を支援」

■識者に聞く■ 日本マンション管理士会 連合会  瀬下義浩 会長

 今回の法改正は、多くの管理組合の実情を直視している印象を受けました。背景には、経年物件の増加に伴う深刻な管理不全問題があります。

 管理不全の兆候があるマンションの劣化をいかに食い止めるか。そのためには、まず総会で迅速な決議が行える環境を整えなければならない。決議要件の緩和にはそういう考えが強く反映されたのでしょう。

日本マンション管理士会
連合会
瀬下義浩 会長日本マンション管理士会 連合会
瀬下義浩 会長

 私は築50年以上の物件を数多く見てきました。これらは設備の老朽化が深刻で、中でも給排水管、特に排水管は厄介な存在です。

 この築年数の物件は、上階の排水管がコンクリートの床を貫通して下階の天井裏を通っています。だから修繕がとても難しい。管理組合が自力でできることにも限界があります。

 ましてや、建替えの合意形成などは、決議要件が緩和されても区分所有者の金銭面やメンタル面での負担などを考えれば、依然として困難を極めるでしょう。

 そんな管理組合を支援するのが、マンション管理士の役割であるというのが私の実感です。

 最近、修繕委員会での「なりすまし事件」が話題になり、改正標準管理規約にもその防止規定が追加されました。時代の変化に伴うリスクへの対応に、コンプライアンス面から支援を行うのも私たちの仕事です。

 日本マンション管理士会連合会では、バックマージンや事務手数料の受け取りを倫理規定によって一切禁止しています。管理組合側につくべきマンション管理士が、業者から金銭を受け取ることがあってはならないからです。

 第三者管理方式で当会所属の管理士が管理組合の役員に就任する際は、過失損害においても独自の賠償責任保険による補償を行います。

 高価格の新築マンションが続々と供給される一方、古いマンションには空き部屋と高齢住民が増え、管理がままならなくなっていく。これが今、国全体が直面している一番の悩みどころです。

 管理組合が抱える多くの問題に立ち向かえるよう、新しい法律に基づく管理規約の改正実務と最適な運用を支援していきたいと思います。