パークタワー晴海2019年2月竣工、地上48階、総戸数1076戸。晴海地区で際立つ外構デザインの「パークタワー晴海」 Photo by Hiromi Tamura

東京湾岸の晴海地区に立つ地上48階、総戸数1076戸のタワーマンション「パークタワー晴海」は、竣工3年目の2021年、60年先までの長期修繕計画の見直しに着手した。都心にアクセスしやすく、水辺のリゾートをコンセプトに設計された外構デザインと設備を有する同マンションには、外国人住民も多い。多様な人々が暮らす環境での計画見直しに管理組合が最も重点を置いたのは、資産価値維持と住民生活との適正なバランスである。

竣工3年目で決断した「60年計画」への見直し

 東京五輪後も大規模な再開発が進む晴海地区南東部に位置する「パークタワー晴海」は2019年2月に竣工。都心にありながら水辺のリゾート感を味わえる立地に、テーマパークのような外構と緑豊かな植栽、他に類を見ないほどの豊富な共用施設が住民の誇りだ。

 この特徴ある住環境や資産価値を長く維持していくため、管理組合は、竣工から3年目の21年より長期修繕計画の検討を進めてきた。

 多くのマンションと同様、新築時に分譲業者が提示したのは期間30年、大規模修繕12年周期というオーソドックスなもの。修繕積立金は段階的に増額され、最終的には月額平方メートル単価477円となるプラン。12年目の大規模修繕の工事費は13億円が見積もられていた。

「この数年は永住志向の人が減っていて合意形成が難しくなっている」

 第3~5期(21~23年)の日笠祐前理事長は、分譲業者の提案内容を最初に見て以来、長期修繕計画や修繕積立金を早期に見直す必要があると考えていた。そして、竣工3年目に、5年以内の実施を目標とする長期修繕計画、および修繕積立金の見直しを決断する。

 そこで、さくら事務所のアドバイスを受けながら長期修繕計画を60年に引き直し、大規模修繕周期を12年から15年に変更、後述のように、修繕積立金の徴収方法の変更にも着手した。

 まずは、大規模修繕において大きな支出を伴う項目を精査した。タワーマンションの工事費で突出している、ゴンドラなど特殊な機材を用いる仮設足場費用を中心に見直しを行い、さらに、サッシ、玄関扉、給排水管などの交換計画も見直した。

 その結果、当初の長期修繕計画から約1割、15億円が削減できた。可能な限りの修繕予算の削減を行った上で、修繕積立金不足を回避すべく金額と徴収方法の変更を行い、さらに災害時への備えなどの予備資金も見直し後の計画に盛り込んだ。

テラス住民専用バーベキュー施設「暖憩テラス」。イベントの集合場所としても使用 写真提供:パークタワー晴海管理組合