税務署はなぜ「申告不要」のはずの
相続を把握しているのか

  翔子さんも「長年母は何かしてあげたいと思っていたのだろう」と理解を示し二人で本来納めるべきだった税金と追徴課税を支払いました。

 そもそも、なぜ申告不要と判断した相続に、税務署から書類が届くのでしょうか。

 税務署は、不動産の登記情報や金融機関からの支払調書、贈与税の申告などを横断的に把握しており、相続が発生したこと自体を高い精度で把握しています。そして、申告可能性がある相続人へ「お知らせ」や「お尋ね」を発送しているのです。

「お知らせ」や「お尋ね」は、届いたからといって即座に脱税を疑われているわけではないが、無視するのは禁物です。では、税務署からこれらの書類が届いた場合、どう対応すればいいのでしょうか。田澤税理士に聞きました。

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税務署からの通知
「お知らせ」と「お尋ね」の決定的な違い

――税務署からの相続税に関する通知にはどのような種類があるのでしょうか。

田澤税理士:相続税申告の可能性がある方に届く通知には「お知らせ」と「お尋ね」があります。

「お知らせ」は、相続税の概要や期限を伝える案内で回答義務はありません。相続が発生したと考えられる人に送られるものであり、基礎控除以下で申告不要の場合でも届くことがあります。基本的には、申告が必要かどうかのチェックにご利用いただくものです。

 一方で、「お尋ね」は税務署が申告の必要性が高いと判断した人に送る調査票であり、回答や確認の優先度が非常に高い書類です。本件のように、相続税申告の期限後に届くこともあります。

 放置すれば税務署が「申告漏れの可能性あり」として税務調査に進むリスクが高まってしまいます。届いたら速やかに税理士へ相談することが大切です。申告が不要な場合でも、なぜ不要なのかを明確に税務署へ説明することが重要です。

 今回のように、生前贈与の認識がなくても被相続人(お亡くなりになった方)から生前に現金などを受領している場合は、相続税申告の対象となる可能性があるため、早急に税理士へ相談しましょう。