「自らの人生は自らがマネジメントする」という意識
1on1に関連して、鵫巣さんは社長時代にマネジャー向け1on1で、「君が会社に貢献するためには、私は君にどんな貢献をしたらいいだろうか」というドラッカーのフレーズを用いて質問していた。
鵫巣 この問いかけは、『経営者の条件』に書いてあったものをそのまま現場で使ったものです。きちんと考えている社員は「でしたら、社長、こうしてもらえませんか?」と返してきます。実際には、この質問を初めて聞いた社員の9割はポカンとして何も答えられません。しかしながら、これが貢献を意識するきっかけになるかもしれません。そして、半年後の面談で同じ質問をすれば、陳腐な答えかもしれませんが、前回よりも答えられるようになっています。これを繰り返すことで、貢献に対する意識を少しずつ高めていくことができます。
鵫巣さんは、ドラッカーの教えから「自らの人生は自らがマネジメントする」ということを50代社員に学んでほしいという。
鵫巣 ドラッカー本には、第2の人生、あるいは自己開発というテーマについて多くのことが述べられています。そこに貫かれているのは、「自らの人生は自らがマネジメントする」ということです。日本では戦後の経済成長の過程で終身雇用が定着しました。ドラッカーも終身雇用に対して、一定の評価をしていました。一方で、終身雇用というのは、働く人が組織を動かない(離れない)ことで成果を上げていました。働く人が組織から動かないということは、働く人をマネジメントするのは、あくまでも企業側であり、企業と個人はマネジメントする側とされる側という間柄になります。しかし、必ず、どこかの時点でその企業を卒業する日が来ます。そのとき、企業からマネジメントされる習慣が身に沁みついていると、自らをマネジメントできないといった事態に陥ってしまいます。そうならないために、早い時期から自らをマネジメントするということをドラッカーの教えから学んでほしいと思います。
ドラッカーマネジメントナビゲーターの鵫巣さんが、多くの人に知ってほしいと願っていることがある。
鵫巣 ドラッカーの教えというのは、「人が幸せになるための教えである」ということを知ってほしいですね。その意味でも、より多くの人をドラッカー山脈の入口までご案内したいと思っています。「マネジメント」や「成果」といった言葉に対する誤解・固定観念を解くことも大切だと思います。成果について、ドラッカーは「組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある」と述べています。すなわち、ドラッカーの言う「成果」とは、成果主義のような言葉から連想される、売上や利益といった成績のことではなく、顧客満足に貢献することであり、その活動で外の世界に変化を起こすことです。また、マネジメントとは「人が幸せになるためのもの」です。このことを理解してもらえると、前向きにドラッカーを学ぶことができると思います。
近年、日本におけるエンゲージメントの低さが指摘され、問題視されています。働くことが辛いこと、職場が辛い場所のように感じる人がいるのは残念なことです。その意味でも、ドラッカーから人が幸せになるためのマネジメントを学んでほしいですね。










