鵫巣さんが、“ドラッカー塾”で気づき、学んだこと

 鵫巣さんは、2016年にダイヤモンド社主催のドラッカー塾(*1)エグゼクティブコースを受講している。

*1 ドラッカー塾は、ダイヤモンド社が主催するドラッカー公認のマネジメント・プログラム。経営者限定のトップマネジメントコース(1年間)、経営幹部向けのエグゼクティブコース(6ヵ月)、マネジャー向けのマネジメント基本コース(3ヵ月)という3コースがある。

鵫巣 ドラッカーの著作を何冊か読んでいくうちに、もっと体系的に学びたいと考え、2016年にドラッカー塾を受講しました。生前のドラッカーさんから直接に教えを乞うた国永秀男先生が講師というのも魅力でした。当時の私は常務のポジションだったので、エグゼクティブコースで学びました。

 塾形式ならではの魅力だと思いますが、同じような志を持つ人と出会い、一緒に学ぶことができたのは貴重な経験でした。全国各地から宿泊代と交通費をかけて受講している人がいることも知り、自ずと私の目線も上がりました。

 コースの中に組み込まれた自己学習用のeラーニング・プログラムも勉強になりました。生前のドラッカーさんが各テーマについて話している動画教材ですが、ドラッカーさん本人が話している声を聞くことができるという点でも貴重だと思います。

 鵫巣さんの印象に残った課題のひとつが、一定期間の時間の使い方を記録する宿題だった。

鵫巣 『経営者の条件』の「第2章 汝の時間を知れ」に「成果を上げる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」と書いてあります。ドラッカー塾でも、これに関連して、「1ヵ月の時間の使い方を10分単位で記録する」という宿題が出されました。私はアシスタントにも手伝ってもらい、自分の時間の使い方を記録・整理しました。その結果、自分がいかに会議にばかり時間を割いていたのかが明らかになりました。実際に記録してみると、自分が考えていた時間の使い方と実際の時間の使い方が大きく違っていることに気づくはずです。現在のコーチングセッションの中でも、「時間がない」というクライアントさんが多いので、そういう方には時間の使い方の記録を勧めるようにしています。

 ドラッカー塾での学びが、実際の事業推進や経営上の意思決定にも役立ったと鵫巣さんは振り返る。

鵫巣 受講時は(建材メーカーの)営業責任者でしたが、その立場からいちばん役立ったのは、ドラッカーの5つの質問の2番目「我々の顧客は誰か?」ですね。顧客を具体的に考えると複数パターンあるので、特に誰にフォーカスすべきかを社内で初めてきちんと議論することができました。私が辞めた後も売上は大きく伸びているので、あのときに顧客について議論しておいてよかったと思います。

 もうひとつは事業の廃棄を決めたとき、ドラッカー塾での学びが意思決定を後押ししてくれました。次の会社で社長になったとき、20年前に始めた約15億円規模の事業を廃棄しました。外部から来て社長になった私の目には、その事業が明らかに陳腐化しているように映ったのです。そこでドラッカー塾で学んだ「まだやっていなかったとして、今からこの事業をやりたいか?」という問いを役員に投げかけたところ、役員全員が「ノー」と答えたので、廃棄することに決めました。