シニアをどのように攻略していくかは小売業各社にとっては必須の戦略と言えます。しかし、実際には介護関連マーケットのみが注目されているのが実情であり、元気なシニア・シルバーに向けた企業の具体的な取り組み事例はいまだ少ないように感じます。そんななか、大胆な戦略をもってシニアに切り込み始めたのがイオングループです。同社はシニアシフトを戦略の切り口として設定し、策を次々と打ち始めています。その象徴的な取り組みがイオン葛西店のリニューアルです。イオン葛西店が新たに設置した「G.Gモール」とは何か。イオンの掲げるシニアシフト戦略を通して日本の高齢化市場で成功するためのキーワードを探ります。

イオンが掲げる
4つのシフト戦略

 イオングループは中期経営計画(2011年度~2013年度)において3つのシフト戦略を掲げています。

1.都市型シフト(大都市圏中心に出店やリニューアルを強化)
2.アジアシフト(アジア、ASEANに向けてのグローバル戦略強化)
3.シニアシフト(55歳以上のシニア向け戦略強化)

 最近ではこれらに加えて、デジタルシフト(ネットを含めたIT戦略強化)も加えた4つのシフトを掲げています。

 上記の中でも特に国内市場において強化している戦略がシニアシフトです。顧客ターゲットとしてシニア層をより重視していく取り組みです。

 イオンでは従来から主なターゲットとしていたのは、子どもがいるファミリー層でした。これは同社だけでなく他のGMS(総合量販店)も同様です。今でもファミリーは主要顧客層ではありますが、日本の人口変化は予想以上に速く推移しています。