併願校選びはより一層複雑に

 偏差値帯の面からも多様化がうかがえます。

 以前であれば「この偏差値帯ならこの学校を受ける層は来ないだろう」と予測できていたのですが、それが通用しなくなっているのです。山脇学園や東京農大第一には、塾のデータでも想定していた以上に高い偏差値層が受験に訪れており、倍率以上に「実質的な難しさ」が増した側面があります。

「桜蔭の受験生が1日の午後に山脇を受ける」というケースもあります。一昔前であれば「あり得ない」と言われていた組み合わせです。

 開成と渋渋を併願、桜蔭と渋渋を併願という受験生が現れているように、男子校・女子校・共学を混在させた併願の受験計画も珍しくなくなっています。

「自分に合った学校を自分で探す」という主体的な姿勢の表れであり、よいことだと思っていますが、こうした状況では、受験計画が複雑にならざるを得ません。従来は見なくてよかった学校まで併願校として見ておく必要があるという意味で手間が増えている、という現実も確かにあります。

桜蔭志望の女子が選んだ「ひと昔前ならあり得ない」併願校の名前【中学受験のプロが解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

「午後受験」の一般化が意味すること

 受験日程で今年顕著だったのは、午後受験の広がりです。2月1日の午前に1校受けてそのまま午後も別の学校を受験する、さらに2日も同様にこなして2日間で4校受けるというケースが中堅校受験生を中心に増えています。

「入試前半で1校は確保したい」という心理からでしょう。こうなると、中学受験は学力だけでなく体力・精神力の勝負であるという側面が強まります。

 受験生は、午前の試験結果を引きずりながら、午後は別の学校で全く異なる傾向の問題に向き合わなければなりません。

 受験スケジュールの組み方が合否を左右する場面も出てきており、戦略的な日程設計がこれまで以上に重要になっています。