「東京23区」は人気上昇の一方で……

 地域別に見ると、今年の最大のトピックは東京23区内の学校への人気の高まりの一方で、神奈川の学校の志願者数が減少したことです。はっきりとした単一の理由があるわけではなく、いくつかの要因が重なっていると考えられます。

 まず、駅からのアクセスのよさや徒歩圏内であることが学校選びの基準の一つになっています。近年の猛暑や自然災害への意識の高まりが背景にあるのかもしれません。

 また、午後受験の一般化が、東京23区内の学校に有利に働いていることは確かでしょう。2月1日の午前・午後、2月2日の午前・午後を組み合わせて2日間で4校を受験するケースも増えており、移動のしやすさ、保護者の入試スケジュール管理のしやすさが重視されるからです。

 千葉や埼玉、そして神奈川から東京の学校を受験するという人も多いため、そうした他県からアクセスが良い「東京23区の学校」も人気です。

 両国にある安田学園は、千葉の市川方面から学校の最寄り駅まで乗車時間15分程度でアクセスでき、今年特に人気を集めました。同様に、東京都市大等々力は小田急線や大井町線でアクセスできるため、神奈川方面からの受験生も多く集まりました。成城学園前周辺の学校も神奈川からのアクセスが容易で、「県境を越えて東京へ」という流れが鮮明になっています。

「東京人気」の裏で“穴場”になりつつある優良校群

 ただし、これは神奈川・千葉・埼玉の学校の質の低下を意味するものではまったくありません。

 フェリス女学院、横浜雙葉、横浜共立学園など、神奈川には伝統に裏打ちされた、すばらしい学校がたくさんあります。進学実績が落ちたわけでも、教育内容が劣化したわけでもない。あくまでも「東京に向かうトレンド」の問題であり、穴場になっているというのが実情です。

 千葉・埼玉でも同様の傾向があります。「両方受かったら東京」という志向が広まっており、それが東京23区の学校への人気集中につながっています。

 逆に言えば、神奈川・千葉・埼玉の学校は「穴場」として狙い目でもあります。

 教育の質が高いにもかかわらず、一時的に競争が緩やかになっているこのタイミングは、これらの学校を第一志望にしている家庭にとってはむしろチャンスでしょう。

 しかし、繰り返しお話ししているように、ここで述べたことは、あくまでも直近のトレンドに過ぎません。最終的には、トレンドに流されず、子どもに合った学校を選ぶという視点を忘れないでいただきたいと思います。