そしてもう1つの「自分に集中している状態」とは、他人からどう思われるか、世間からどう評価されるかといった他者の目を介さず、自分のできることだけに集中している状態を指します。「このプレーで失敗したらコーチに怒られてしまう」と考えたり、前の試合の失敗を引きずっていたりする状態では、高いパフォーマンスは出せません。

 そして、「今」と「自分」への集中を阻害する最大の要因は、間違いなくSNSやニュースだと思います。SNSがもたらす悪影響は多くのリサーチで証明されていますが、中でも僕自身が最もパフォーマンスに影響するだろうと感じるのは、「他者との比較」を助長させてしまう点です。SNSを開けば、投稿者の生活の最も輝かしい瞬間を切り抜いた写真や言葉が並んでいます。それを見るだけで、僕たちは無意識のうちに自分自身と比較してしまい、劣等感を抱くようになるようです。

 世の中は、上を見ればキリがないし、下を見てもキリがありません。そのため、見知らぬ誰かと無意識に比較し、傷ついたり、あるいは優越感に浸ったりするのです。

 そうは言っても、SNSは現代において大切な情報源となっており、完全に切り離すことは簡単ではありません。よって、僕自身も工夫をしながらSNSと付き合っています。

 まず、基本的にはコメントを見ないようにしています。自分が伝えたいことがあるからSNSに投稿するのであって、それに対してあらゆる反応があることは仕方がありません。反対もあれば、賛成もあるでしょう。「嫌なことを書かれたり、言われたりしたら落ち込まないんですか」とよく質問されますが、僕たちアスリートも落ち込んだり、怒りたくなったりします。だからこそ、僕はそうしたものには極力近づかないようにしています。

大概のニュースは
数日遅れて知っても支障なし

 エゴサーチをすることで自分を奮い立たせるという人もいますが、僕はしません。僕にとってエゴサーチをすることは、心霊スポットに行くようなもので、なんだか悪い運気まで持って帰ってきてしまいそうな気がするのです。