昼間はナマガイエに手術の手ほどきを受け、夜はビデオガイエで復習をする。片手にはもちろんワイングラス。何百時間を費やしたか分からないが、1秒も辛いとは感じなかった。
遂に僕はひとつの結論に到達した。「イエス、ガイエ・キャン!」彼は内視鏡手術で、肝臓を構成するS1からS8までの8つの区画をすべて、幕内スタイルの正確さで切除していたことが証明されたのだ。この技術は世界に報告する価値がある。
同書より転載 拡大画像表示
ガイエの卓越した技術を
日本に持ち帰らなくては
後に僕は彼の手術法と成績を論文にまとめ、外科学のトップジャーナルで報告した。この時ばかりは巨体のガイエ先生が小躍りし、「トレッ、トレビアン!!」と最上級の誉め言葉を贈ってくれた。
ひとつの目標は叶った。でも、僕にはもっと大きなミッションがあったはずだ。
院長室で幕内先生に語った、留学の目的「彼の技術を日本に紹介したいんです」――この約束を果たすには、彼の「全術式」をビデオで紹介する教科書を作るのがベストだろう。
僕は深夜の鑑賞会を続行し、肝臓だけでなく胆管や膵臓の手術にジャンルを拡大してビデオクリップを作り続けた。
この作業は、帰国後に『Gayet 腹腔鏡下肝胆膵手術:ムービーでみる局所解剖』(南江堂)という教科書の発刊に結実する。2層DVD付き。しかも各術式の見出しには、我が家のバルコニーから撮影したエッフェル塔の写真がちりばめられているという、医学書としては斬新なレイアウトだ。こんな無謀な企画を実現してくれた南江堂の皆さまに、今も心から感謝している。
ガイエ先生に、「今日は、先生にしかできないスゴいオペでしたね!」と率直に感想を述べたことがある。しかし彼は、日本的な「お世辞」を見透かしたのか、喜ぶどころか激怒した。







